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第25話 正解がわかりません
龍ヶ崎が、オレの体から離れた。
「……龍ヶ崎」
と、オレは龍ヶ崎の腕をつかんだ。
「なに?」
「どこ行くの?」
「電話とりに」
「み、見るからぁ」
「何を?」
と、しれっと言ってきた龍ヶ崎。
龍ヶ崎から目をそらして、
「……む、胸」
と、言ったら、
「教えたでしょ。悠人はいつも忘れるよね」
男に言わせて楽しいセリフじゃないのに、言わせたがる。
「……オ、オッパイ」
と、小さな声のオレ。
「誰の?」
「……悠人の……オッパイ」
「僕は乳首見て、て言ったんだけど」
いつも、オッパイって言わしてるのに。
今日に限っては、乳首かよっ。
「見える?」
と、龍ヶ崎に言われて。
自分の胸を見て、目をそらして、うなずいた。
「もっと見ないと」
と、龍ヶ崎。
ムリ、と首を横にふったら、
「悠人の乳首がどうなってるか、教えて」
「ヤっ…」
「自分でわからないんだったら、他の人にどうなってるか、言ってもらおうか?」
「……他の人?」
「写真が嫌なら、誰か呼ぶけど?」
「待ってっ!」
龍ヶ崎の腕をつかんでいた手に、力が入った。
「見せたい人いる? 特別にリクエストを受けつけるけど」
「ちゃんと言うからっ!」
こんな状況に、第三者を参加させるなんて、信じられない。
「じゃあ、見たまんま言ってみて」
オレは視線を胸に落として、
「ち、乳首が赤くなってる……」
と、オレ。
声がふるえた。
恥ずかしさより、こわさで、だ。
オレのことをオモチャだと公言している龍ヶ崎だから、本当に、誰かを呼ぶかもしれない。
「で?」
と、龍ヶ崎。
で、て、なに?
他にも、何か言えって?
「右のが、い、いつもより、大きい」
「何が?」
「……乳首」
「誰の?」
「オレの」
「違うでしょ」
「ゆうとの…乳首」
「で?」
見た目では、それ以上何もない。
龍ヶ崎が何を考えてるのか、わからない。
「た、たってる」
と、オレ。
「どこが?」
「み、右の、乳首。ゆうとの乳首。りゅう、がさきに、いじられて、たった」
「で?」
もう、ない。
思いつかない。
オレは自分の胸元から視線をはずした。
オレを見下ろしている龍ヶ崎を見た。
龍ヶ崎の腕をつかんだままだった手を離して、オレは起きあがった。
龍ヶ崎の首に両手をまわし、
「続き、して?」
と、オレ。
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