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第28話 血流がよいだけだ

「まだ痛い?」 と、龍ヶ崎。 オレがうなづいたら、 「うあっ!」 龍ヶ崎が腰を引き、 中がこすれて激痛が走った。 「大げさ」 「りゅう…が、動くか…らぁ……」 「抜けって言ったの、悠人でしょうが」 「…いまは…動かない……で」 ぐいっと、龍ヶ崎が顔をよせてきたから、 どかそうと端整な龍ヶ崎の顔をさわったら、 眉尻をさげて困ったように笑われた。 ちょっ、その顔、ヤバいって! かぁっと、オレの顔が熱くなった。 「どうしたの? 顔、真っ赤だよ」 と、龍ヶ崎。 とっさに龍ヶ崎の顔をさわっていた手を離して、自分の顔を前腕で隠した。 指摘せれなくても、わかってるってば。 嘲笑はいつもしてるけど、 オレの前では、あまり笑わないのに。 屈託ない笑顔もたまにするけど、そんなのレア。 冷笑されると、怖くて、いいなりになってしまうけど。 あんなふうに、頼りなく笑われると、なんでもしてあげたくなってしまう。 龍ヶ崎にオレの腕をつかまれ、 「やっ、見んな」 腕をどけられた。 「……なんて顔してんの?」 と、龍ヶ崎。 龍ヶ崎が間近で真正面から見下ろしてきて、オレは顔をそらした。 龍ヶ崎が横をむいたオレの頬にキスをしてきた。 その唇が耳たぶを食み、 「うっん…」 歯を食いしばっても、もれる声。 「耳も真っ赤」 と、龍ヶ崎。 執拗に耳をなぶっていた唇が、 「はっ…んんんっ……」 首筋をついばんでくる。 「首まで赤い」 と、龍ヶ崎。 「あっ…はあんっ…んうん…」 容赦なく首をせめられ、 「りゅ…やめ…あんっん……」 オレは首を何度もふって、龍ヶ崎の頭をどかした。 龍ヶ崎に見下ろされて、形のよい口が動いた。 「……は?」 と、オレが不機嫌な顔をしたら、 龍ヶ崎が底意地の悪そうな顔で笑ってきた。

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