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第29話 初めてのひと※

「なんで怒るの」 と、龍ヶ崎。 「おまえが、変なこと言うから」 「言ってないよ」 声にだしてなかったけど、そう口が動いていた。 「言った」 「だって、かわいいのは事実だし」 「かわいくないっ」 オレの心の傷をえぐるなよ。 オレにとって、性的な雰囲気な時に言われる『かわいい』は禁句だ。 中等部の時に好きになった先輩の口癖が『かわいい』だった。 初めてキスされた後も、 初めてエッチした時も、 『かわいい』と言われた。 あの人がオレの名前を愛しそうに呼ぶのは、 あの人の片思いの相手と同じ名前だったからだ。 好きと言われてエッチもしたけど、オレたち、付き合っていなかったし。 泣き笑いされて、さよならしたけど。 今思えば、年上の美人先輩にもてあそばれただけなんだよなぁ。 「悠人なら言われなれてるでしょうが」 「……子供のときだけだ」 家族や家の者や学校で、言われてたよ。 早産で産まれて虚弱体質だった。 小さい時はよく熱をだして、寝込むことが多く、食が細くて小さかったし。 「ふーん、何て呼ばれたいの?」 と、龍ヶ崎。 「別にない」 「なら、かわいいでいいんじゃない」 「それは嫌」 「じゃあ、雌豚」 やっぱりバカだ。 「……」 「気に入ったんだ」 いるわけがない。 「変態だ……」 「その変態に抱かれて、喜んでいる淫乱ドMの悠人には、雌豚がピッタリ」 「あっ…んん…」 龍ヶ崎に乳首をつねられた。 「言い声で鳴きなよ」 「ひっ、やっああぁ……」 龍ヶ崎が抽送しだした。

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