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第31話 意地悪

流れた唾液を追うように、龍ヶ崎に首筋を舐めれれた。 「つぅ…」 オレはくすぐったさに目を開けた。 「りゅう……」 「ん?」 「キス……」 「したよ?」 「……ちゃんとしたの」 「だったら、悠人から、ね」 オレからのキス。 強要されないとしないけど。 龍ヶ崎とのキスはわけわかんなくなるから、 苦手だけど。 舌先を絡めるだけじゃ足りない。 形のよいやわらかい唇を味わいたい。 口の中を龍ヶ崎の舌で、かきまわされたい。 酸欠なのかわかんないけど、 頭がぼぉうとしちゃうくらいの、 むさぼられるような、 どろどろになるような、 そんな龍ヶ崎からのキスが欲しい。 今は、 龍ヶ崎とキスがしたい。 龍ヶ崎の顔を両手ではさんで、ひきよせた。 「まだ痛い?」 と、龍ヶ崎。 オレはうなづいて、 「気持ちいいの…して……」 と、龍ヶ崎の口にキスをした。 近すぎて、視界がぼやけてよくわかんないけど、 一瞬だけ、 龍ヶ崎が驚いたような顔をした。 見た目に反して、龍ヶ崎のやわらかい唇。 押しつけただけの唇をずらし、下唇を食んだ。 真ん中から端まで吸って、 上唇をぺろりと舐めあげた。 舌先で龍ヶ崎の前歯をノックするけど、 開けてくれなくて。 「くち…開けて……」 と、お願いしたら、 「こじ開けてよ」 だって。 龍ヶ崎は、いつでも、意地が悪い。

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