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第34話 好きなこと※

「あっ…あん……うんんんっ……」 気持ちよくないけど、声が出てしまう。 龍ヶ崎に腰をささえられて、ゆすられているからだ。 オレたちの体の間には、クッション1個が入るくらいの空間があり、安定感が悪い。 密着度は低いが、重力のせいか、正常位より深く体の中に入っている気がする。 「はっ…ん……それ、ヤっ…」 龍ヶ崎がオレの首にキスしてきた。 舐められて、吸いつかれて、噛まれた。 「あんっ…」 首をふって逃げようとして、落ちそうになった。 とっさに、龍ヶ崎の肩に腕をまわした。 「つかまっていないと、落ちちゃうよ?」 と、龍ヶ崎。 「……りゅ…うが、変っ…なことするから」 龍ヶ崎が、オレを少しだけ見上げて、艶やかに笑んだ。 すごく、卑怯だ。 こんな顔を見たら、何も言えなくなってしまう。 「悠人の好きなこと、しようか」 龍ヶ崎がオレの背中に腕をまわし、 「うっ…わあぁ」 引きよせたのだ。 オレたちの距離はいっきに近づいた。 オレを見ていた龍ヶ崎が、そっと熱のこもったような黒い目を閉じた。 オレは、吸いよせられるように形のよい唇に、キスしていた。 龍ヶ崎のあたたかくてやわらかい唇の感触を、少しだけ楽しんで、離し、目を開けた。 間近には、うっすらと目を開けている龍ヶ崎。 「たりた?」 と、龍ヶ崎。 「……たりない」 と、答えたら、 龍ヶ崎にキスをされた。 オレはぎゅっと目をつぶった。 唇を合わせることなく、口の中に舌がすぐに入ってきた。 舌を絡まされ、吸われる。 歯列をなぞられ、舌小帯をつつかれる。 上顎の裏を長い龍ヶ崎の舌がはっていく。 オレはされるがまま、龍ヶ崎からもたらされる甘い痺れを受け入れていた。 ありえないくらいの甘い声も、 ねだるような吐息も、 たれてくる唾液も、 しがみつく両手も、 今のオレにはどうしようもなくて。 ずっと欲しかった龍ヶ崎のキスに、ただただ溺れていった。

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