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第43話 おかん気質

「熱、ない?」 と、護がオレの額に手をのばしてきた。 あ、冷たくて気持ちいい。 思わず目を閉じた。 「悠人」 と、護。 「……ん」 「ぼくの手、気持ちいいの?」 「……うん……ひんやりする」 護の手のひらに、無意識にすりよってしまった。 護は指が長くてきれいな手なのに、内側はゴツゴツしている。 剣道部だから、タコやマメが出来ているからだ。 子供の頃から、見た目からは想像出来ないいびつな手のひらだった。 手をつなぐと、護は嫌がって振りほどこうとしたけど。 オレが逆にぎゅっと握り返したら、泣きそうな顔で手をつないでくれてたっけ。 「それは熱があるから。保健室行くよ」 と、きつい口調の護。 ざわついていた教室が、なぜか静かになっていて、護の声しかしなかった。 護の手がオレのおでこから、はずされた。 うっすらと目を開けると、怒ったような困ったような判断のつきにくい顔の護。 「行かない」 と、オレ。 「クラス委員命令」 「横暴。大丈夫だってば。ほんとにヤバくなったら、寮に帰るから」 「ヤバくなる前に、保健室に行くんだよ」 「やだ」 「ぶっ倒れたら、おれが保健室でも寮でも連れてってやるから安心しろ」 と、野間。

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