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第44話 二人ともちょろいよ……
オレは野間の手をガシッとつかんで、
「そのときはよろしく~」
と、お願いした。
「本当に倒れたらどうするの」
と、護が野間に言いよった。
「そんときはそんときで」
と、野間。
「野間くん、大好き」
と、オレはにぎったままの手をぶんぶんとふった。
「……野間は悠人の言い分をききすぎ。甘やかしすぎるのは、よくないよ」
と、護。
「ほんとにオレは大丈夫だから。具合悪くなったら、すぐに護に言うからね」
と、オレ。
野間の手を放し、オレの好きな護の右手を両手でつつんだ。
「心配してくれてありがとう」
と、笑顔のオレ。
「……笑えば、何でも言う通りになると思って」
と、護がぼそりと言った。
「護」
と、オレ。
「我慢できなくなったら、ぼくに一番に言うこと。わかった?」
と、護。
「うん」
と、オレ。
護の手を放したら、護は自分の席に戻っていった。
「沢木はあいかわらず過保護だな」
と、野間。
「野間もだよ」
と、オレ。
野間はオレの頭をくしゃくしゃとなでてから、前に向き直った。
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