66 / 67
第66話 スマホがないのは不便
今日は週末のセックス漬けのせいで、体がつらかったけど精神的にもしんどかった。
ソファーに座ったら、どっと疲労感がおそってきた。
護のこと、どうすればいいんだろう。
家にはすぐに報告がいくはず。
オレに供人がいるのなら、護だけとは限らない。
彼のことだ。
他にもいるはずだ。
供人の存在を教えてもらっていないからといって、それを鵜呑みにした自分がバカだったんだ。
よくよく考えたら、彼がオレをのばらしにするはずがなかった。
自宅通学の初等部ではまだしも、全寮制になった中等部からでは彼の目が届かなくなる分、何人かの家の者が学園にはいるはずだ。
供人以外にも、逐一オレのことを報告させているんだと思う。
家から離れたここ で、狭い世界ながらも自由を満喫している、と勘違いしていた。
彼のことだ。
メインは護で、サブには最低でも2人はいるはずだ。
もっと予備軍を配置しているかもしれない。
護はオレに供人の存在がばれたから、外されるのか?
それともメインからサブに降格か?
護がオレのそばからいなくなる。
…………それは断じて避けたい。
家からの指示は隠されて、そばにずっといた護。
桜井本家の命令には逆らえないのが、係累だ。
裏切られてきたけど、やっぱり離れるのは嫌だ。
いままで通りにはいかなくても、これまでと同様にそばにいて欲しい。
偽りの友達だったとしても、手放したくない。
家の指示で供人として動いてきたのなら、供人の主人であり、桜井本家の人間であるオレの意見を重要視させるまでだ。
家ではオレの権限なんてないようなものだけど。
外の血が混じっていようが本家の人間なわけで。
現当主の子供だから、行使しようと思えば使える力だった。
家に連絡をいれないと、すぐにオレから離されるかもしれない。
彼は迅速に冷徹に確実に行動する人だから。
でも、オレには甘いところがあるから、そこに漬け込むことが出来るはずだ。
あ、
ヤバい。
連絡手段のスマホ、いま手元にないわ。
いまから、教室にスマホを取りに戻るか?
野間が届けてくれるだろう夕方まで待つか?
解熱剤が効いてきたのか、考えがまとまらなくなってきた。
同時に急激に眠気もやってきた。
制服を脱いで。
パジャマに着替えて。
ベッドに入って寝なきゃいけない。
そう思うけど、しぜんとまぶたが閉じてしまって、開けられない。
ともだちにシェアしよう!