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第4話 幼なじみ ②

ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ 俺達はいい気分でビールを瞬殺し、 ワインを開ける。    その名も ―― タマヤ スウィート・ゴート レイト・ ハーヴェストマスカット・オブ・アレキサンドリア という、大変長ったらしい名前の逸品。    産地にしても大変珍しく、チリ産の貴腐ワインで 慎之介いわく、この界隈で買える一番上等なワイン らしい。 ……まずは、仄かな薫りを楽しみ ――、 軽くひと口含んで口の中でコロコロと転がすよう 空気と混ぜ、ゆっくり飲み込む。    ぷはぁぁ~~……んー、旨いっ! マジ美味しいこのワイン。    日本での販売代理店とかって、もう決まってる のかなぁ……。    グラスの中の薄い琥珀色をぼんやり見つめながら そんな事を考えていると ――。       「おい、こんな時商売の事は考えるなよ」 「テヘッ ―― ごめん。でも、ホント旨いよ、  コレ」   「だろ~? ヒデが惚れ込んで、産地のワイナリーに 日参して個人輸入に漕ぎつけたらしい」               それを2人ですいすいと、1本、2本、3本……。 フルーティーな甘口白ワインなので、 いくらでも飲めちゃうって感じ。    酔いの勢いもあって、 俺達はシラフなら絶対話さないであろう、 色んな話しをした。 互いのドジ話しから始まり、 学生時代夢中になった事とか、 好きな特撮ヒーローとか。 本当に他愛もない話し。 気付けば、 ワインの瓶が5本くらい床に転がっていた。 「でもホント、慎ちゃんってば惜しいよなぁ~」 酔っ払った俺は調子にのって言う。    「顔はめっちゃタイプなんだけど~。性格悪すぎ!  口も悪すぎ! 惜しいよ~」 「どこが悪ィんだよ! 超イイヤツだろ、俺はっ!」 同じく酔っ払った慎之介がデカイ声で反論す。 「Sキャラ過ぎ! か弱い男子には怖いっての!」     「そんな風に感じるお前が卑屈なんだよ……  俺から見たらお前の方が惜しい!」 「え~っ、どこがよぉー?」 ほとんど喧嘩腰。 「顔が惜し過ぎる! 性格は俺の好みなんだがなぁ!   あー、マジで残念な奴ぅ!」 「うっわ、ひっどぉいっ! これでもブラピに似てる  とかって言われた事あるのにぃ!」   注! ご存知ハリウッドスターの       ブラッド・ピットです。          「へへへ……そいつもかなり酔っ払ってたんと  ちゃうかぁ?」 大声で悪口を言い合い、ゲラゲラ笑った。 あー、プライベートでこんなに楽しく話したの、 ホント久しぶりぃ。 俺が新しいワインを開けていると、 慎之介が据わった目で俺をじっと見てる。 「なん?」 「あれから1*年か……ホント、腐れ縁としか言えねぇ  よな、俺達」 慎之介が柄にもなくそうしんみりと言えば、 俺も「そうだねー」と、答えた。 「長かったようで、結構、あっという間、だったな」 一瞬、慎之介の泥酔顔が真顔に戻ったように 見えた。 「……しん、ちゃん?」 俺のすっきりボブヘアーをよしよし するように撫でる。 そして、そのままの流れで俺達はキスをした。 唇が離れ、そのあんまり優しい感触が 嬉しかった俺は 「もう1回」 図々しくもキスのおかわり要求。 慎之介が俺の身体を引き寄せ、 今度は深くて熱いキスをする。 「んン……っ」 きもち、い……。 うわぁ、マジ、めちゃくちゃ気持ちいい! 俺も慎之介の頭を引き寄せ、キスを深くする。 そして、俺達は床に倒れ込んだ。 頭の隅では色んなことが過った。 おいおい、この男は幼なじみっ!   とか けど、この気持ち良さは捨て難い……。 とか ―― 明日は土曜日だから、ま、いいか。 とか……      「―― おい、何考えてる?」 「えっ……」 「このままだと俺、最後までヤッちゃうけど」 「一応、聞いてはくれるんだぁ ――   ココ、こ~んなに硬くしてるのに」 「そうやって余裕ぶっていられんのも、  今のうちだぞ」 「そう、なの?」 でも、ここのところ生徒会の雑用で遅くまで居残り作業 なんて生活もごく普通にこなしてきた体は、 確実に限界を迎えていて…… さぁて、まずはこの邪魔なシャツを ―― と、 慎之介が俺のシャツを脱がしにかかっている最中、 俺は事もあろうに睡魔に負け ―― 「んン ―― しんちゃん……」 「ん~?……おい ―― マコ?」 「フフフ……もう、飲めないってぇ……」 「おい ――」 ZZZZZ……。 大好きな人に組み敷かれた格好で、寝落ちした。

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