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第5話
サシャは閉ざされた玄関の重い扉に縋るように手を触れて、茫然と立ち尽くした。
従兄弟には、自分が分からなかったのだ。
「可哀想に」
背後からクラウスがサシャを抱きしめる。
「お前が……お前のせいで、こんな……」
サシャの声は絶望に震えていた。
同じ狼の血族だったからこそ分かる。
一族は変わってしまった自分を受け入れない。血統こそが全てなのだ。
───もう帰れない。もうどこにも居場所が無い。
故郷の森は……遥か遠い。
「サシャは私のものだ。永遠にね」
長衣の合わせ目から手を差し入れて、クラウスが愛撫を始めた。
「うっ……う……」
サシャの金色の瞳から、涙が溢れた。
魔術士はサシャの体を弄りながら、結果に満足していた。
厄介な血族の繋がりから、完全にサシャを引き剥がすことができたのだ。
震えて泣くサシャの絶望さえ、愛しい。
「愛しているよ。サシャ」
「俺はお前を愛せない」
「かまわない。愛して欲しいわけじゃない」
クラウスはサシャの長衣を捲り上げ、尻を剥き出しにした。
扉に押し付けるようにして、サシャの上体を倒させた。
「憎しみだろうが、絶望だろうが、なんだっていいんだ。君の全てが欲しい。例えこのまま狂ってしまったとしても、それが君なら構わない。どこまでも……愛しているよ。サシャ」
歪んだ愛を熱く囁き、細腰を引き寄せて一気に貫いた。
「ひぃッ……あ! あぁああッ!!」
憎い男に犯されて、サシャは叫び声を上げた。
「あぁ……あっあ……は、あぁあ!」
腰を突き出し、絶望に泣きながら立ったまま犯され続ける。
「あぅ……お前は、狂ってる……」
「そうだね。でも、狂わせたのは君だ。愛しいサシャ」
魔術士は嬉しそうに笑い、背後からサシャの顎を取り、その唇に口付けた。
逃がさないとばかりに、きつく抱き締められ、深く犯される。
ひと突きごとに、気高かったはずの狼としての誇りが壊されていくようだ。
もう自分は、この男の腕の中でしか生きられないのだと思い知らされる。
「あ……あ……は、ぅあ!」
絶望に染まった瞳を瞼で隠し、サシャは魔術士に身を委ねた。
魔術士は愛しい者を手に入れた歓喜に、より貪欲にサシャを求め続けた。
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