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第8話
翌朝、クラウスは屋敷に戻ってすぐにサシャのいる寝室を目指した。
「サシャ」
扉を開けると、サシャは泣き腫らした顔で床にうずくまって朦朧としていた。
クラウスはそっとサシャを抱きかかえて、ベッドに横たえた。
そして、ぐったりとしているサシャの手を取り、いつもの絹のロープで頭上で一括りに拘束した。
「……っ!……な、に?」
虚ろな瞳でサシャが魔術師を見上げた。
「ただいま、サシャ。寂しくなかった?」
魔術師は優しくサシャの頬を撫でる。泣き濡れた金色の瞳を見て、今すぐにでも抱きたい衝動を抑えて言った。
「お土産があるよ」
サシャは裸で、今も体内にいる蟲の蠢きに下肢を震わせている。土産など、どうでもいいから早く解放してほしかった。
だが、魔術師はサシャを拘束し、漆黒の小さな壺を持ち上げてサシャに見せた。
蓋を開けて、中身を手のひらに乗せた。
「……ひっ!?」
魔術師の手のひらの上の物体にサシャが目を見開き、全身を硬直させた。
ヌトヌトと濡れ、ヒルのように蠢めく赤黒い物体だった。
「貴族達の間で流行っているそうだよ」
「や、や……なにを……!?」
震えながらもがきだしたサシャの胸に、赤黒い蟲をそっと乗せた。
「いやぁああ───ッッ!!」
赤黒くヌメヌメとした物体は、サシャの胸の尖りに吸い付くように張り付いた。
ぴったりと密着しているようでいて、何百もの小さな舌で乳首を愛撫されているような感覚に、サシャの全身に鳥肌がたつ。
首を左右に打ち振り、激しく身悶えた。
「き、もち悪いッ!……取って!……アッ、これっ……取ってくれッ!!」
「よさそうだね……ほら、もうひとつ」
「ヒィッ!?……やめてッ! 嫌だ……いやっ! 嫌だぁあ!」
反対の乳首にも、赤黒いヒルのような生き物を張り付かせた。
「ひぃ、い! ───ぁあああッッ!!」
両の乳首にヒルが張り付き、いっせいに愛撫を開始した。
人間の舌では味合うことの出来ない未知の快楽だった。
「ひぃあ、あ、あ、アァアアッッ!」
サシャは背を反らせ、目を見開き、あまりの快感に閉じる事が叶わなくなってしまった唇を大きく開いて喘いだ。
「い、やぁああ! やめて……お願い……あぁああ……嫌っ! いやだぁ、アァ!!」
魔術師は銀の瞳に欲望を映して、今度は別の壺を手にした。
壺の中身を手の上に乗せて、サシャに見せるよう、目の前にかざした。
「もうひとつ。愛しいサシャにお土産だ」
今度は青黒い蠢めくヒルだ。最初のよりも大きい。
「……ッッ!?」
これ以上、何をされるというのか……
サシャは怯えて息を呑んだ。
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