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生き延びた子供
「嫌だ!! 触るなッ! やめろ!」
犬塚が突然暴れだした。
先程までの従順さが嘘のようだ。
犬塚の体温は下がり、全身で竜蛇を拒否している。
竜蛇は犬塚の体に乗り上げるようにして、上から押さえつけた。
「そんなに怖いか?」
「怖いものか!! 嫌なんだ!」
だが犬塚の瞳には、ありありと怯えが宿っている。
犬塚はまだ性の知識も全く無かった幼い頃に、徹底的に凌辱の限りを尽くされていた。
───五年間。ペドフェリアの玩具だった。
あの金持ちの変態男は犬塚の他にも子供を飼っていた。
だが、どの子供も犬塚ほど長くもたなかった。
早々に精神が崩壊してしまうか、変態男に飽きられ、いつの間にか屋敷から居なくなっていった。
犬塚だけが、五年も生き延びた。
7つの時から12歳まで、性玩具としての五年間だったが……
犬塚の性ゆえだ。
どんなに嫌でも、望んでいなくても、男を受け入れ快楽を拾い上げてしまう。誰に犯されても、この体は男を喜ばせる淫らな反応を返す。
───嫌だ! 嫌だ! いやだッッ!!
自分が自分でなくなってしまう。
ブランカに救われて、何年もかけて立て直し、積み上げてきたプライドの塔を崩されてしまう。
「やめてくれ竜蛇っ!……鞭で打ってもいい。蝋燭でもいい。それだけは、それだけはやめてくれ!……お願いだ!」
「犬塚……」
犬塚は必死で竜蛇に言い募った。
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