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発情
竜蛇は無言で犬塚を組み敷き、脚を開かせた。
髪を鷲掴みにして、乱暴に口付けた瞬間、犬塚が竜蛇の唇に噛み付いた。
唇に血を滲ませ、竜蛇は笑いながら犬塚の頬を張った。
犬塚の顔が屈辱に染まる。だが、その表情からは欲望が見てとれた。
竜蛇は犬塚の顎を強く掴んで開かせ、強引に口付けた。
「……う、ん……ぅむ、あ……」
竜蛇に唇を激しく貪られながら、犬塚は身悶えるように暴れた。
犬塚がもがけばもがくほどに、互いの下肢の熱は高まっていく。
いつしか二人は傷だらけで、血を滲ませながら互いの舌を吸い合い、情熱的なキスに溺れていた。
竜蛇は性急にベルトを外しジッパーを下ろして、すでに完全に勃ち上がっている男根を出した。
「……ぅあ!……あぅう!」
噛みつかれて血塗れた自分の指を犬塚のアナルに強引に埋めて、性急に準備をする。
早く挿れたくてたまらない。竜蛇は犬塚の脚を大きく開かせ抱え上げた。
犬塚は竜蛇の体の下から、殺意と嫉妬と欲望がない交ぜになった壮絶な色気を含んだ瞳で睨みあげた。
「……ッ!」
その色艶に竜蛇が息を呑んだ。
そして、一気に犬塚のアナルを己の雄で貫いた。
「あっ……あ! アァアア───ッッ!!」
犬塚は叫び声を上げて、大きく背を反らせた。
「……はぁっ、犬塚!」
竜蛇がすぐに突き上げを始める。
「ああッ! ああッ!……ぅう、はぁあ!」
犬塚の喉から甘い叫び声が立て続けに発せられる。
竜蛇は犬塚を押さえつけ、激情のままに突き上げた。
激しく揺さぶられながら、犬塚は潤んだ黒い瞳で竜蛇を見上げた。
犬塚は生まれたままの姿で、竜蛇は衣服を着たままだ。
───悔しい。自分はこの男の素肌を見た事もないのだ。
犬塚はスラリとした両脚を竜蛇の腰に回した。反動をつけて、繋がったまま体勢を入れ替えた。
騎乗位の体位で竜蛇の男をアナルの奥に咥え込む。
「……ぅ、はぁッ」
犬塚は竜蛇のシャツを、ボタンを引きちぎるように引き裂いた。
露わになった竜蛇の逞しい胸に爪を立て、思い切り引っ掻いた。
「……ッ!!……は、犬塚」
竜蛇が秀麗な眉を寄せ、甘い声音で犬塚を呼んだ。犬塚の背にゾクゾクと快感が走る。
竜蛇は犬塚の細腰を両手で掴み、下から激しく突き上げた。
「あぁああッ!! は、あぅ……竜蛇ッ!」
「犬塚……犬塚……すごいな……ッ!」
犬塚の内側の肉の壁はうねり、締め付けて、竜蛇の雄を甘く責め苛む。
「あ! あ!……んんッ!」
ガクガクと震えながら犬塚がドライオーガズムで達した。
後ろだけの絶頂のあと、ガクリと竜蛇の上に倒れ込む。
竜蛇は犬塚を強く抱き締め、再び体を入れ替えて組み敷く。
イッたばかりの体を休ませることなく責め続けた。
「あぁあ! 嫌っ……はぁ、あ、あ、あぁあッッ!」
「犬塚……愛している」
「う、るさい!……あ! あ!……嘘を……ひぃあ!」
───他の奴とセックスをしてきたくせに!
「お前に嘘はつかない。愛しているのはお前だけだ……ッ!」
後孔のきつい締め付けに竜蛇が低く呻く。
「う、そつき……ひ!……あ、あ、やぁああッ!」
「嘘じゃない。愛している。お前だけだ」
「ぃや……うそだ……黙れっ……あ! はぁああッッ!!」
ビクンと脚を跳ねさせ、犬塚がまたイッた。
「……あぁ、あ……はぁ」
「……ああ……犬塚、可愛い……俺にはお前でなければ駄目だ。愛しているよ」
甘く告げて、竜蛇が更に犬塚の雌の孔を責めた。
床の上で絡み合い、激しく交わり合う。
「ぃや、ああ……ああッ!……たつ、だ……あ!」
竜蛇は犬塚の片脚を抱え上げるようにして、互いの脚を交差させて揺さぶった。
血を滲ませ、傷だらけで、己の下で淫らに乱れる犬塚が愛しくてたまらない。
欲望と殺意が入り混じった眼差しを犬塚に向けられ、竜蛇は狂う程の情欲と歓喜を感じていた。
まるであつらえたようにぴったりと、犬塚と竜蛇は「合う」のだ。
こんなにも欲しいと願う相手は、後にも先にも犬塚だけだろう。
竜蛇が珍しく余裕の無い表情と声で犬塚を呼んだ。
「犬塚……っ」
脚を下ろして正面から突き上げ、犬塚の体を掻き抱く。
欲望のままに思い切り突きまくった。
「あっ! あっ! あ、はぁあ……ああ! ひぃ、あ!」
「犬塚ッ!!」
限界まで男根を犬塚のアナルに突き入れ、叩きつけるように欲望の証を吐き出した。
「ああぁあ───ッッ!!」
「……ッ!!」
体の奥に放たれた熱を感じて、犬塚も同時に絶頂に達した。
「ぁあ……あ、あ」
荒い息を吐きながら、竜蛇が犬塚に口付ける。
「……最高だ。犬塚……愛している。お前でなければ駄目だ」
竜蛇は熱い声で囁いた。その言葉は本心だ。
竜蛇は犬塚でなければ駄目だと、本気でそう思った。
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