26 / 151

シャワールームにて

荒い呼吸のまま、ズルリと犬塚の後孔から竜蛇は雄を抜いた。 「……ぅう」 生々しい感覚に犬塚が呻いた。 竜蛇はそのまま犬塚の隣に体を横たえ、大きく息を吐いた。 犬塚も荒い呼吸をしながら、唖然と天井を見上げていた。 本気で竜蛇を殺そうと思っていたのに……どうして、こんなことに。 「……くそっ!」 「口が悪いね。犬塚」 竜蛇が上半身を起こして笑った。 「ボロボロだな。お互いに」 何がおかしいのか、竜蛇はハハッと笑った。 犬塚は忌々しげに竜蛇を睨んだ。 「これ以上煽るな。今夜だって、お前を抱くつもりはなかったのに」 「誰が……あっ!」 竜蛇は犬塚の体を抱き起こした。 「先にシャワーだ」 犬塚はよろめきながら、どうにか立ち上がる。 ふらつきながら、シャワールームに向かった。竜蛇に中出しされたモノを掻き出したかった。 背後で竜蛇が電話で誰かに何やら指示をしていたが、気にしている余裕はなかった。 犬塚は先にシャワールームに入り、熱い湯を浴びた。 「……うっ」 あちこちに打ち身や擦り傷ができており、湯が染みた。 遅れて竜蛇もシャワールームに入ってきた。 「……ッ!」 犬塚は驚いて体をビクリとさせた。 当たり前なのだが、竜蛇は衣服を全て脱ぎ、見事な裸体を晒していた。 芸術家が創造した彫像のように、無駄の無い、鍛え上げられた美しい体をしていた。 竜蛇はシャワーの下まで来て、当然のように犬塚の腰を抱き寄せた。 「なっ……やめろ!」 竜蛇は犬塚の拒絶の言葉を無視して、濡れた黒髪を掴み、唇を合わせた。 「……んんっ!」 ───抵抗したいのに……。 犬塚は竜蛇のキスに弱い。 こんな口付けを誰からも受けたことはなかった。 甘く、濃厚で、互いの吐息を奪い合うような情熱的なキスだ。 「……は、ぁ……んむ、ぅ……ん」 ゆっくりと唇が解き、竜蛇が琥珀の瞳で犬塚を見つめている。 濡れて色濃くなった金茶の髪、滴る水滴、切れた唇、鈍く光る琥珀の瞳。それら全てが、普段よりも竜蛇という男の色香を増して見せていた。 しかも、犬塚に注がれるその視線は蕩けるように甘いのだ。 犬塚は耐えきれずに目を逸らした。 「あっ!?」 竜蛇の手が犬塚のアナルに触れたので、犬塚が驚いた声をあげた。 「何を!?」 「ああ。なかに出したモノを掻き出してあげるよ」 「いい! 自分でやるっ!」 「遠慮するな」 竜蛇が甘く笑う。 「遠慮なんか……あっ!」 竜蛇は犬塚の体をクルリと反転させ、片腕を捻り、壁に押し付けるようにして押さえつけた。 「きさま……っ!!」 背後から膝を使って、犬塚の股を開かせる。 「ほら、いい子にしろ。すぐに終わる」 「……ひっ!」 竜蛇の長い指がアナルに入ってきた。ゆっくりと中をかき混ぜるように蠢く。 「……や……やぁあ……」 ねじ込んだ二本の指で、くぱぁとアナルを開いた。 「あ……っん、ぁあ!……嫌だ……っ」 どろり、と最奥から竜蛇の精液が垂れてゆく。犬塚は肌を粟立たせて、小さく震えた。 精液を掻き出して、竜蛇の指がゆっくりと出て行く。 犬塚は安堵の息を吐いた。 「!?」 だが、すぐに別の熱が犬塚のアナルに触れた。 壁に押し付けられた顔を捻って、背後の竜蛇を見た。 「煽るなと言ったのに……」 「違っ!……嫌だ! いやぁあ、あ! やめっ……あぁああ!!」 再び熱と硬さを取り戻した竜蛇の雄が、犬塚の雌の孔にズブズブと沈んでいった。 竜蛇は犬塚の引き締まった腰を両手で掴み、ぐっと奥まで突き上げた。 「あぁあっ! あっ!……は、ぅあ……ひぃあ!」 犬塚はバスルームの壁に縋るようにして、熱い雄の突き上げに耐えた。 「……犬塚。愛しているよ」 その言葉に、また犬塚の頭にカッと血が上った。 「離せっ! 抜け……このっ!」 もがいて暴れ出した犬塚を竜蛇が押さえつけ、黙らせるように激しく責め立てた。 「ひっ! ああぁあ───ッ!」 犬塚の背が大きく反った。 「どうした? 犬塚。ココはこんなにも俺を求めているくせに」 「あぁあ!……やぁ、ちが……はぁッ!」 犬塚の肉壁は淫らにうねり、竜蛇の雄を離すまいと絡み付く。 「……他の奴と……ヤッてきた…くせに……あぁあ!」 「……犬塚!」 「ああ! なんで……ッ!?」 犬塚の言葉に、竜蛇の雄が更に大きくなり、硬さを増した。 「ああ、可愛い。犬塚」 竜蛇が犬塚をキツく抱き締め、ガツガツと背後から責めた。 「あっ! あっ! いやぁ……アア!」 「犬塚。何度も言うが、俺はお前に惚れている。だから、お前には時間をかけている」 今度はゆるく腰を回しながら、竜蛇は犬塚の耳に囁いた。 「俺はいつだってお前を犯したい。それこそ、壊れる程にな……だから、暴走しないように外で発散させてきたんだ」 「なっ……何を言って……あ、あぁ」 「人の我慢を無駄にしやがって……お前が煽るから、俺の努力も水の泡だ」 「勝手なことを……!!」 この部屋に監禁して、散々好き放題にしてきたくせに。竜蛇の勝手な言い様に犬塚は苛立った。 「だが、これが俺の愛し方だ。受け入れろ」 「あ……嫌だ!……や、ぁあ!」 「……俺に惹かれはじめているくせに」 その言葉に反応した犬塚の後孔がキュッと竜蛇の雄を締め付けた。 「……犬塚」 竜蛇の唇に微笑が浮かぶ。犬塚の後孔の甘美な締め付けに甘いため息をついた。 「……誰が……お前なんか……あぁあッ」 「覚悟しろ、犬塚。必ず俺を求めさせるように調教してやる」 「そんな……あ!」 背後から犬塚の顎を掴み、竜蛇は激しく口付けた。

ともだちにシェアしよう!