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バニラセックス
竜蛇は「今夜は最後まではしない」と言って、犬塚の裸身に手のひらを這わせた。
昨夜の攻防で犬塚の体は痣や擦り傷だらけで、微熱を持っていた。
一晩近く責められ、未だ後孔も腫れていた。
「触れるだけだ。甘く鳴いてくれ」
竜蛇が犬塚の手首をやんわりと押さえ、乳首に舌を這わせた。カリ、と胸の尖りを甘噛みする。
「あ、あぁ……」
ビクリと体を震わせ、犬塚はたまらず甘い喘ぎ声を漏らした。
「やっ……あ!……やめ……っ」
竜蛇の手と舌が、犬塚の微熱を持つ裸身を這い回る。羽毛のようなタッチで触れられた。
───もし今夜、
竜蛇が自分を拘束し、鞭打ち、力ずくで犯してきたならば、まだ犬塚は竜蛇を憎めただろう。
もう竜蛇を殺すことは出来なくとも、この男に対して憎しみは失うことはなかっただろう。
だが今夜、竜蛇が仕掛けてきたのはバニラセックスだ。
挿入せず、柔らかな愛撫で犬塚を鳴かせた。
竜蛇の腕の拘束はあまりにも柔らかく、竜蛇の舌は優しく犬塚の象牙の裸を這った。
だから犬塚は抵抗するタイミングを見失ってしまう。
「……犬塚、可愛い」
甘く囁き、鼠径に舌を這わせた。
「はっ……あぅ……」
「もうこんなに濡らして……いやらしい子だ」
犬塚のぺニスは硬く勃ちあがり、熱を持ち震えている。股間に竜蛇の吐息を感じて、思わず下肢を見た。
「……ッ!」
己のペニスに触れんばかりに唇を寄せている竜蛇と視線が絡み、犬塚は息を呑んだ。
竜蛇は唇に淫靡な笑みを浮かべ、犬塚のペニスに唇を付け、そのまま囁いた。犬塚のペニスが竜蛇の吐息を感じてビクビクと反応した。
「……犬塚、舐めてやろうか?」
「な……あっ!」
竜蛇は目を伏せて、触れさせた唇をそっと竿に這わせた。
再び、犬塚と視線を絡めて囁く。
「可愛くねだってみせろ」
「嫌だ!……誰がっ!」
竜蛇は益々、笑みを深くした。
抵抗なんぞ口先だけだ。犬塚の腰は震えて、肉棒は竜蛇の唇を追うようにすり寄せてくる。
「本当に、お前は可愛いよ。犬塚」
「なにを……あ!……あっ、あ」
竜蛇が犬塚の顔を見たまま、根本から亀頭まで、ねっとりと舐め上げた。
たまらず犬塚は目を閉じ、大きく背を反らせた。
上へ下へと、蛇のようにヌルヌルと竜蛇の舌が這い回る。犬塚のペニスはビクビクと快楽に反応した。
左右交互に陰嚢を含まれ、口内で転がされる。
鼠径を舐められ、内腿の柔らかな肉を甘噛みされて吸われた。竜蛇の唇が内股に吸い付き、所有の証をいくつも付けられた。
ペニス周辺への愛撫に、トロトロと先走りの汁を漏らして、犬塚は己の腹を淫らに濡らした。
「はぁ、あ、あぁう……ぃや……もぅ……」
うっすらと汗をかき、身悶えながら、ゆるゆると首を左右に振る。
「ああッ!!」
ベロリとペニスを舐め上げられて、犬塚は背を反らせて喘いだ。
だが、竜蛇の舌はペニスから離れてしまう。
犬塚の足首を掴み、抱え上げて足首を甘噛みした。
親指を口に含み、クチュクチュと舐めて口内で愛撫した。
「あ、あ、はぁ……う、んん」
犬塚の足指を一本ずつ、ねっとりと舐めて愛撫し、指の股にも舌を這わせた。
犬塚は背をゾクゾクさせ、熱い吐息を漏らす。ペニスは愛撫を待ち侘びて、震え続けた。
「あ!」
ゴロリと伏せに反された。
竜蛇は犬塚の太腿を跨ぎ、ジャケットを脱いでシャツのボタンを上だけ外した。シャツを頭から脱いで、手早く上半身裸になった。
「なにを……はっ……」
竜蛇が犬塚に覆い被さり、裸の背中と胸を密着させた。
「愛しているよ、犬塚」
耳元で甘く囁く。
「言うなッ! あっ」
背後から耳を舐められ、竜蛇の熱い息遣いを感じる。
「……ぁあ……ぅ」
汗ばんだ肌に手のひらを這わせながら、犬塚の背骨に沿って竜蛇の舌が降りてゆく。
そうしながら、犬塚の背に残る古い傷跡ひとつひとつに口付けてゆく。
「あ、はぁ……や、やぁ……だめだ……っ」
竜蛇の唇の行き着く先に気付いて、犬塚が制止の声を上げるが、喘ぎ混じりの無意味な制止だった。
竜蛇が犬塚の尾骨にキスをした。
「あ!」
そのまま、尻を開きアナルを視感される。
「少し腫れているな」
「やめろ……見るな!……ああッ!」
竜蛇が犬塚のアナルをベロリと舐め上げた。
「昨夜、ココに俺のを咥え込んで何度もイッただろう」
「言うなッ、言うなぁ!」
「何度も中出ししてやったからな……お前は俺だけのオンナだ」
「黙れ!……オンナじゃない……ひぃあ!」
腫れたアナルを竜蛇の熱い舌で舐められ、犬塚はベッドに突っ伏して震えた。
昨夜、何度も何度も貫かれたアナルは敏感になっていて、竜蛇の舌に過剰に反応した。
「あ……あぁ、あ……は……」
腫れたアナルを舐められ、犬塚は小刻みに震えながら甘く鳴いた。
竜蛇の唾液で濡れてヒクつく後孔に、ゆっくりと骨ばった指が埋められた。
「あぁあッ…! 今日は、しないって……!」
「最後まではしないよ」
竜蛇は指と舌で犬塚の内側を愛撫し始めた。
「あ、はぁあ……う、んんッ」
犬塚はシーツを握り締め、緩やかな愛撫に耐えた。
もういっそ、犯してくれと言いたくなるほど、ゆっくりと優しく後孔を愛撫される。
「ああッ!……んんぅ!」
犬塚の奥の、快楽のシコリをぐりっと押された。犬塚は裸身をビクンと跳ねさせて喘いだ。
「いゃ……だ、めだ……やめっ……あ、あ、あぁあ……」
前立腺を責められ、体の奥に火が灯る。ハッハッと呼吸が荒くなる。
竜蛇の指ひとつで、あっけなく蕩けてしまう後孔に、本当に竜蛇のオンナにされてしまったような錯覚に陥る。
───ああ! 熱い。奥が……奥に、もっと……
「あ……ッ!」
竜蛇の指がズルリと出ていった。思わず物足りなさそうな声を出してしまい、犬塚は唇を噛んだ。
表に反され、真正面から竜蛇が犬塚を見る。琥珀の瞳に囚われたまま、ゆっくりと唇を合わせた。
「……ん、ふ……」
犬塚はすんなりと竜蛇のキスを受け入れ、それに応えた。
すっかり覚えてしまった。
竜蛇のキスの心地良さと甘さ、絡め合う舌の快楽を。
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