「は……ふ、ぅ……」 唾液の糸を引いて、唇が離れた。 竜蛇が下も脱ぎ、見事な裸体を露わにする。逞しい胸には、犬塚が昨夜付けた爪痕があった。 「……」 犬塚は昨夜の痴態を思い出し、唇を噛み、羞恥に目元を染めた。 目線を下げれば、竜蛇の雄も硬く勃ち上がっていた。 竜蛇が腰を揺らめかせて、自身のペニスと犬塚のペニスを擦り付けた。 「あっ」 ヒクン、と犬塚が身をよじらせた。 「犬塚……」 竜蛇が犬塚のすらりとした脚を抱え上げ、正常位の体位でヌルヌルと熱い肉茎同士を擦り付け合う。 「やめッ……あ！……あ、あ、はぁ」 時折、竜蛇の雄が犬塚の雌の孔を掠めた。その度に、犬塚はビクビクしてしまう。 この程度の刺激ではイケそうにない。 それに……。 「あ……あ…はぁあ……ッ」 中途半端に愛撫された犬塚のアナルは疼きまくっていた。いっそこのまま犯して欲しいくらいだ。 だが、竜蛇は最後までしないと言った。今夜、竜蛇の熱いペニスは挿入されることはないのだろう。 「嫌だ……いや、あ！……もぅ……こんなんじゃ……あ！」 ネチネチと微妙な刺激をペニスとアナルに受け竜蛇の熱を感じて、たまらず犬塚が譫言のように漏らした。 「どうした？」 「……」 笑みを含んだ声で囁かれ、犬塚はキュッと唇を噛み締めた。 悔しい。竜蛇の思いのままになど、なりたくはない。 「……ん……ぅん……」 互いの熱くなったぺニスを擦り付け合うように緩やかに揺らされ、首筋にキスを落とされ、鎖骨を甘噛みされる。自然と犬塚の腰も揺れた。 昨夜のあの熱く、激しいセックスを思い出し、犬塚の体は疼いた。 一晩中、何度もイカされた。この男に。 強く抱かれ、一時も離れずに。 昨夜とは違って眩暈がしそうな緩やかな快楽に、犬塚は唇を震わせた。 ───もう、嫌だ。こんな……！ 「……はっ……ぁあ……はぁ」 犬塚はゆるゆると首を振り、真綿で首を絞められるような快楽に耐えた。 思わず、入れてくれとねだってしまいそうな自分が信じられない。 それだけは、絶対に言うものか。 だが、犬塚の淫らな肉体と雌の孔は、気が狂いそうな程に疼きまくっている。 「ぅう……やぁ……あ！」 ポタリと犬塚の顔に雫が落ちた。 目を開けて見れば、竜蛇の顎から汗が伝い、犬塚の頬に滴り落ちている。 その美しい顔に欲望を乗せて、竜蛇も耐えていた。琥珀の瞳で熱く犬塚を見ている。 ───この男も、自分が欲しくて仕方ないのだ。 犬塚は薄く笑った。それは、ひどく妖艶な笑みで、竜蛇は背をゾクリとさせた。 犬塚に求める言葉を言わせるために、竜蛇は欲望を抑えている。同じだけ欲しいのだ。お互いに。 そう思うと、この真夜中の攻防がひどくバカバカしいものに思えた。 「……もう、入れろよ」 「……犬塚」 「……さっさと、俺を……犯せ……アッ！」 口にした瞬間、竜蛇が犬塚の脚を抱えあげ、その剛直で一気に貫いた。 「アァアア───ッッ！！」 犬塚は大きく背を反らせて絶叫し、竜蛇のペニスが最奥に到達した瞬間に絶頂に達した。