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蛇との交わり
「ハァッ……ハァッ……あ! まって……あぁう!」
息を整える暇もなく、竜蛇が犬塚を揺さぶり始めた。
「あ、あ、あぅ……やぁあ!」
待ち焦がれた力強い雄の突き上げに、犬塚は喉を反らせて、ヒクヒクと震えた。
「ん……むぅ……あ、あ!……んんぅ」
黒髪を鷲掴みにされ、乱暴に口付けられる。
竜蛇の突き上げの激しさに合わせた唇がズレる。その度に、何度も噛み付くように貪られた。
犬塚の手が竜蛇の背に回され、必死に縋り付く。
「……ああ、犬塚……」
「あ、んぅ……あっ、は、あぅ……あぁ」
思えば、犬塚が自分の意思でセックスをするのは生まれて初めてかもしれない。
「犬塚。お前だけだ」
竜蛇が甘く囁く。それは毒のように、犬塚の奥深くに染み込んでいく。
───こわい。
変わってしまう。
変えられてしまう。
この男に。
「あぁ……いやぁ…あっ、あぁああ……」
犬塚は竜蛇によって与えられる、この毒のような言霊と快楽に溺れながらも怯えた。
二人は我を忘れたように交わり、二度ほど中出しをされた犬塚のアナルは、竜蛇の精液でゴプゴプと卑猥な音を立てた。
「あぁあ! あ、あ、もぅ……やめッ……あう!」
獣の体位で後ろから突き上げられる。犬塚の両腕が体を支えきれず、力が抜けてベッドに突っ伏した。
尻だけを高く上げたまま、竜蛇に犯される。
「……っ……犬塚……可愛い」
「あっ、あっ、やぁ……た、つだぁ……!」
「お前は雌犬だ。いやらしくて、可愛い」
犬塚が嫌々と首を振った。
「違う……あ!……ち、がぅ……あぁあ」
竜蛇が犬塚の背に覆い被さるようにして、甘い声音で囁いた。
「俺だけの雌犬だ。俺のものだ」
「ああっ」
眩暈がする。
呑み込まれてしまう。
奪われてしまう、何もかも……この男に。
そうして欲しいと願う心と、絶対に支配させてなるものかと抵抗する心が犬塚の内でせめぎ合った。
竜蛇は犬塚と肌を合わせながら、犬塚の精神の葛藤を感じていた。
───堕ちてこい。
そう思う反面
───抗え。もっと楽しませろ。
竜蛇も相反する想いを抱えながら、犬塚を愛し続けた。
これは厄介な恋だった。
「あぁあ……う…うぅあ……ひぃあ!」
背面座位で抱かれ、犬塚は頭を竜蛇の肩に擦り付けるようにして甘く鳴いた。
顎を取られ、キスをされる。犬塚は自ら舌を差し出し、腕を上げて竜蛇の頭を掻き抱く。
「んっ……むぅ…はぁ……あぁ、あっ、あ」
竜蛇は背面座位のまま、ゆっくりと倒れ、ベッドに背を預けた。
仰向けに寝た竜蛇の上に犬塚の体が重なった。竜蛇の逞しい胸に、犬塚の無駄の無い美しい背がぴったりと重なる。
「あぁあ……」
竜蛇は犬塚の体の甘い重みを堪能しながら、両手で乳首やペニスを愛撫した。
緩やかに後孔を竜蛇のペニスが責める。
犬塚は美しく背を反らせ、身悶えた。この程度の刺激では、物足りないのだ。
両腕で体を支えながら、竜蛇の雄を咥え込んだまま、犬塚は体を起こした。
「ふ、うぅ……あ、あ、はぁあ……」
竜蛇に背を向け、騎乗位でアナルの奥深くまで竜蛇のペニスを迎え入れた。
犬塚の尻が竜蛇の下腹部にぴったりと密着した。そうして、ゆっくりと腰を蠢かせ、出し入れをする。
竜蛇は犬塚の好きなようにさせた。犬塚の尻に自分のペニスが埋もれてゆくのは、刺激的な眺めだった。
「あっ……あ! あ!……うぅう、あはぁ!」
徐々に犬塚の腰使いが激しくなる。嫌がるのを無理矢理に犯して泣かせるのも好きだが、快楽に素直になって、淫らに踊る犬塚もたまらなく魅力的だった。
妖艶な腰の蠢きに、竜蛇は唇を舐めて甘いため息をつく。
「……犬塚。お前は最高だ」
「うるさっ……ふぅ、あ、はぁ……あ、んん!」
竜蛇が犬塚の両手首を掴んだ。そのまま、ガツガツと下から激しく突き上げた。
「あぁあああ───ッ!!」
犬塚の背が大きく、綺麗に反り返った。しっとりと汗に濡れた筋肉が艶めかしく蠢いている。
「……綺麗だ」
「あ、あ……言う、な……あぁあッ!!」
「お前は綺麗だよ、犬塚」
竜蛇がため息のように、うっとりと甘い囁き声で、犬塚を賛辞する言葉を紡いだ。
犬塚はその声に震えた。
嬉しい、と。わすがにそう感じる心を必死で否定する。
竜蛇の声は犬塚の心にも、体にも、染み込んでゆく。
この男は本気で自分を欲しいのだと。
ただの性欲処理の人形ではなく、殺しの道具でもなく。
犬塚の心も体も、全てを手に入れようと求めているのだ。
───それが、ひどく恐ろしい。
竜蛇が怖い。なのに、犬塚の肉体は更に熱く燃え上がってしまう。
竜蛇が上体を起こした。そのまま犬塚を伏せに倒し、ベッドに押さえつけるようにして、ガツガツと突き上げた。
「ヒィ……あ! あ!……うぁッ! は、あぁあ!」
「……はぁ……犬塚……」
竜蛇が動きを止め、犬塚の肢体に覆いかぶさってきた。汗に濡れた肌が密着する。
後ろから犬塚の耳を食んだ。
「……ぁあ」
そのまま緩やかに後孔を突いた。
まるで終わってしまうのが惜しいというように、竜蛇は突き上げては緩やかな動きに戻し、絶頂を引き延ばす。
「……ぁああ、いやぁ……も、やめろ……あぅ」
犬塚はハラハラと涙を零して、身悶えた。
───ああ、もう……イキたい……ッ
体に力が入らず、犬塚はすべてを竜蛇に委ねている。
絶頂の直前まで揺さぶられ、イク寸前に止められる。生殺しのようなセックスに、犬塚は啜り泣いた。
「あっ!」
繋がったまま、表に返される。竜蛇は大きく犬塚の脚を広げさせ、これ以上ないほど奥深くに己のペニスを埋めた。
「あぁああッ……はぁあ!」
反った犬塚の喉に、誘われるように竜蛇が噛みついた。
「ひ……あうぅッ!」
首輪の少し上の、皮膚の薄い部分にギリギリと歯を立てられて、犬塚が苦悶の表情になる。だが、声には隠しようもない甘さが滲んだ。
「いっ!……ひ、ぃ…あ……う! ううッ!」
喉元に食いつかれたまま、アナルを犯された。
ベッドを大きく軋ませ、激しく後孔を責めた。ゴリゴリと前立腺を抉った。
「……ぅ……はッ……ッ!」
息が……できな……!
……だめだ……もぅ……もう……ッ
竜蛇が最後の突き上げで、犬塚の最奥に熱い白濁を迸らせた。
「────ッッ!!」
体の奥深くに放たれた熱を感じ、声もなく犬塚の体が痙攣した。竜蛇の腹にペニスを擦り付けるようにして、犬塚も精を吐き出した。
キツく閉じた瞼の裏にチカチカと火花が散るような、強烈な絶頂だった。
「……っあ……ッ……ッ!!」
竜蛇が犬塚の喉を解放した。犬塚は大きく息をする。
「はぁッ……はぁッ……はっ」
くっきりと噛み跡のついた喉元を舐めあげて、竜蛇は犬塚の痩身を抱き締めた。
ズルリとアナルから雄を抜いて、犬塚を胸に抱くようにして、ベッドに横になる。
「……愛しているよ。犬塚」
竜蛇は犬塚の黒髪に口付けて囁いた。
犬塚は絶頂の余韻に震え、潤んだ瞳のまま、ぼんやりと竜蛇が降らせるキスを受けていた。
繰り返される甘い囁きを聞きながら、犬塚はそっと目を閉じた。
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