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抱擁3
「もっと……ぁあ……奥に……あ!」
犬塚にねだられて、竜蛇は奥の奥まで突き入れた。これ以上ないくらに、二人は深く繋がっている。
「あぁああッ!」
奥まで貫かれ、激しく揺さぶられながら、犬塚は両手を持ち上げて竜蛇のシャツに触れた。
震える指先で竜蛇のシャツのボタンをどうにか外した。
露にさせた竜蛇の肌に、犬塚は顔を上げて舌を這わせた。
「ああ……犬塚……」
竜蛇はシャツを脱ぎ捨て、裸の胸を犬塚の胸にぴったりと合わせた。
「竜蛇……あ、あ」
犬塚は竜蛇の背に縋り付くように爪を立てた。
竜蛇の首筋に舌を這わせて吸い付き、赤い鬱血の痕を付けた。これは自分のものだとマーキングをする獣のようだ。
その犬塚の行為は、互いに求め合っているのだと感じさせ、よりいっそう竜蛇を燃え上がらせる。竜蛇の突き上げが激しさを増していった。
「ひぃい……アッ! あぁああ───ッ!」
竜蛇は逞しい雄で雌孔を責め苛みながら、犬塚の尿道に挿入されたままだったブジーをゆっくりと回しながら引き抜いた。
「は……あッ! あぁあ───ッ!!」
尿道から抜け出ていくおぞましさと気持ちよさに、犬塚は竜蛇の背中に爪を立て、大きく叫んで射精した。
「……ッ!」
犬塚のアナルにギリギリと締め付けられ、竜蛇も堪えきれず二度目の熱を吐き出した。
「ハァッ……ハァッ……」
竜蛇は全てを注いで、がくりと犬塚に覆いかぶさった。荒い呼吸を繰り返す。
「は、ぅ……ふぅ……」
竜蛇の重みに犬塚は甘いため息をついた。
「ん……」
息が落ち着き、顔を上げた竜蛇は犬塚にキスをした。犬塚を蕩けさせる、あの甘い接吻だ。
「……まだだ。もっと……お前が欲しい」
どこまでも求められ、支配されて……。
犬塚は眩暈がするほどの充足感に満たされていた。
「た……つだ……」
掠れた声で竜蛇を求めた。
そうして再び……二人は深く淫らに交わっていった。
───後日、新見は傷の手当てをされてから解放された。
「今回の事は忘れることだ」
新見のマンションの前で車を止め、降ろす前に須藤は警告した。
「犬塚君は!? 無事なの? い、犬塚君に何をしたんだ? あんたたちは一体……!?」
「新見サン。ご実家に可愛い妹さんがいるでしょう」
須藤の言葉に新見の顔が蒼白になった。
「警察が当てにならないのはお友達の件で知っているでしょう。うちもね、警察の偉い人にお友達がいるんですよ。あんたが警察やお友達に話したら、妹さんやご実家の家族に『お願い』しなくちゃいけない。うちらもそんなことはしたくないんですよ?」
「そんな……」
「まぁ、今回のは痴話喧嘩みたいなもんだ」
苦虫を噛み潰したような顔で須藤は言った。
「あんたは優しい人間のようだが、犬塚を心配する必要はない。犬塚はあんたのお友達とは違う。裏社会の人間だ」
須藤は治療費だと言って、分厚い封筒を新見に渡した。
「あんたが今回、命拾いしたのは犬塚に手を出していなかったからだ。あんたを殺せば犬塚はまたボスを拒むだろうし。捨て置けと言われている。ボスを怒らせて、命があるのは幸運なんだぞ」
そして、新見を車から降ろした。
「いいな。忘れろ」
新見はマンションの前で、須藤が乗っていた車が見えなくなるまで立ち尽くしていた。
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