133 / 151

見えない鎖5

「ひ、ぃいッあ! やめっ………アアッ!」 イクにイケず、犬塚はのたうち回った。 竜蛇は犬塚の太腿をがっちりと押さえつけて、思う存分しゃぶり尽す。パンパンに張りつめたペニスを喉で吸い上げ、尿道に尖らせた舌先をねじり込んだ。 「………ッ! アッ! やッ………嫌だ! いや、いや………あぁああ」 犬塚は汗で濡れた裸身を大きく反らせて、キツすぎる快楽から逃れようともがく。 だが強烈な快楽に震える手も足も役立たずだった。竜蛇の思うままに鳴かされて乱れまくった。 「あぅ………イクッ、イクイク………ッヒィ!!」 射精しそうになってもリングに阻まれて、寸でのところでせき止められる。 大きく痙攣する犬塚の目尻から涙が零れた。 「………可愛いよ。幸人」 「し、のぶ………も、やめ………あ! だめだ………もう、もぉ………あぅう!」 ハァハァと息を荒げ、汗にまみれた痩身を身悶えさせた。 犬塚の鍛えられた腹筋は細かく痙攣している。 もう許して欲しい。何度も空イキさせられた後、射精できないペニスを責め苛まれて、犬塚は啜り泣いた。 「ゆるして………ああ、志信、志信ぅ………あ、はッ」 「幸人」 竜蛇は顔を上げて、涙と涎でぐちゃぐちゃの犬塚の顔を愛しげに見つめた。 その顔に満足したのか、ようやくコックリングを外してやる。 血管が浮き出るほど勃起した犬塚のペニスはビクビクしながら、尿道からとろりと精液を零した。 「あ、ぁあう………や………は、あぁあ………ああ」 長時間、耐えさせられた末の射精は勢いは無く、トロトロと蛇口が緩んだ水道のように精液を垂らし続けた。その長い絶頂に犬塚はまた涙を流した。 「あぅ………あ、ん」 竜蛇は犬塚と唇を合わせた。犬塚は待ち望んでいたように竜蛇の舌を貪る。濃厚で甘い口付けだ。 「愛している。幸人」 「志信………」 「死ぬまで離すつもりはない。覚悟しろ」 琥珀の瞳が貫くように強く犬塚を見つめている。 竜蛇の甘く恐ろしい宣言に犬塚の鼓動が跳ねた。犬塚は竜蛇の背を引き寄せて再びキスを求めた。 見えない鎖で繋がれてしまう。 鞭打つ行為も拘束することも、愛の言葉と同じだ。 酷いと思えるような真似でさえ、「愛している」と囁く言葉と同じで、犬塚を口説いているのだ。 ただ鳴かせたいだけではない。 アブノーマルなプレイがしたいからでもない。 相手が犬塚だからだ。 犬塚は強引に開かされ、責め苛まれる事で熱くなる。だが、モノのように扱われるのは耐えられない。 犬塚が不安になって見上げれば、いつだって竜蛇は愛しい存在を見つめる眼差しで犬塚を見つめていた。 どんなに酷い真似をされていても、竜蛇と犬塚は対等だった。 いや、犬塚に惚れている分、竜蛇の方が負けているのかもしれない。 竜蛇は犬塚の全てを暴くように体も心も開いていく。犬塚が奥底に隠してきた欲望を曝け出させた。 今ではこの行為が一方的ではないと犬塚も分かっていた。 この男に縛られる事を望んでいるのだ。 「志信」 口付けの合間に、犬塚が小さく竜蛇の名を呼ぶ。 その声に含まれた甘い響に気付いて、竜蛇はよりいっそう深く犬塚の唇を貪り、犬塚を求め続けた。

ともだちにシェアしよう!