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甘い夜明け1
翌朝、犬塚はいつもよりも早く目覚めた。
時計を見れば、まだ6時前だ。体は気怠く疲れていたが、頭は冴えていた。
同じベッドで、いつものように竜蛇は犬塚を抱き枕にして眠っている。
犬塚は眠る竜蛇の顔をじっと見つめた。相変わらず美しい顔をしている。犬塚は美醜にこだわりは無いが、竜蛇の顔は性別を超えて美しく整っていると思った。
しばらく竜蛇の寝顔を眺めていた犬塚は、喉の渇きを感じて、静かに竜蛇の腕の中から抜け出した。
ベッドを下りると少し肌寒さを感じ、スウェットの上だけを着て寝室を出た。
裸足のまま、ぺたぺたとキッチンまで歩いた。電気はつけずにミネラルウォーターを出して一口飲んだとき、
「早いね。犬塚」
「っ!」
背後から声をかけられ、犬塚は水を噴き出しそうになった。ギロリと竜蛇を睨む。
「……気配を消すな」
「消したつもりはないが……お前がぼんやりしてただけだろう」
竜蛇は上半身裸のまま、下だけ黒のスウェットを履いて立っていた。寝起きの気怠げな表情が艶っぽく感じた。
犬塚はプイと竜蛇から視線を外して水を飲んだ。微笑を浮かべながらそばに来た竜蛇が犬塚の着ているスウェットの襟ぐりを指先でくいと引っ張った。
「?」
「俺のだ」
犬塚は竜蛇の部屋着を着て寝ている。いつものことだ。
「それがどうした?」
「裸に俺のスウェットの上だけを着ているのも可愛らしいと思ってね」
「………」
竜蛇は犬塚の生足を舐めるように眺めている。犬塚は下着もつけておらず、下は裸だった。
竜蛇に言われて自分がみっともない格好をしていると気付き、犬塚は苦虫を噛み潰したような顔になった。
早く着替えようと寝室に戻ろうとして竜蛇に引き止められた。
「まだ寝るのか?」
「眠くはない」
竜蛇の腕が犬塚の腰に絡みついた。振り返れば、薄暗いキッチンで竜蛇の琥珀の瞳が蛇のような獰猛さを宿し始めている。
先ほどの会話で、何かが竜蛇を煽ってしまったようだ。
よく言われるが、犬塚には自分の何が竜蛇を刺激しているのか、よく分かっていなかった。
「そうか。俺もだ」
竜蛇がゆっくりと顔を寄せてきたので、犬塚は唇を開いて竜蛇のキスを出迎えた。
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