「ぁあ……ふ……ぅ」 こんなこと早くやめなければ、と思うのに、犬塚はアナルを弄る行為をやめることができなかった。 ぐっと奥まで指を埋めて、ぐねぐねと蠢かす。ペニスを扱いているよりも、尻の孔を弄っている方が気持ちが良かった。 ……こんな……こんな真似は止めるべきだ。 「あ、あ」 でも、足りない。 犬塚は伏せになって尻を突き出し、二本の指をアナルに出し入れさせた。 気持ちがいい。でも足りない。 体の疼きに切なくなって泣きそうになる。 「いやだ……こんな……ぁあ……くそっ！」 いつしか犬塚は剥き出しの尻を揺らして、自分の指で雌孔を淫らに慰める行為に没頭していった。自分の指では満足できない。けれどこの行為を抑えることができない。 ……どうして、俺は……こんな…… 「は、ぁう……ぁ……」 こんなんじゃイケそうにない。犬塚のアナルは男を求めている。竜蛇の雄が欲しいのだ。 「くそっ、早く帰ってこい」 「楽しそうだね。犬塚」 突然声がして犬塚は硬直した。視線をドアの方に向けると、竜蛇が扉にもたれかかるようにして立って、こちらを見ている。 「な、んで」 「少し早く戻れたんだ。出迎えがないから眠っているのかと思ったが」 竜蛇は唇に優美な笑みを浮かべて犬塚を見た。まだ動けずにいる犬塚は気まずさから怒ったように竜蛇に言った。 「……気配を消すなと言っただろうが」 「消していない。お前が気付かなかっただけだ。夢中だったようだな」 犬塚の顔がカッと火を噴くように熱くなった。アナルから指を抜こうとして、 「止めるな」 竜蛇が硬質な声で命じた。 犬塚の体がビクリと硬直する。今朝とはまるで違う。真逆のように冷たい声だ。 「止めるんじゃない。続けろ」 「い、嫌だ」 竜蛇はゆっくりとベッドの上の犬塚に歩み寄る。そして、犬塚の黒髪を鷲掴みにしてベッドに押さえつけた。 「あ！」 「俺を楽しませてみろ」 「なにを」 「今朝、セックスはしたくないと言ったのはオナニーがしたかったからか？」 「違う！」 犬塚は伏せの体勢でアナルに指を入れたまま、竜蛇に頭を押さえつけられている。 無様だと思うのに、体の奥が熱くなっていた。これから竜蛇によって、どのような辱めを受けるのかと想像すると腰が震えるほどにゾクゾクした。