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蜜月1
「して、くれ……」
蚊の鳴くような声で犬塚がねだり、その言葉に竜蛇の唇が弧を描く。
「聞こえないよ。もっとはっきりと強請ったらどうだ?」
笑いを含んだその声に犬塚は悔し気に竜蛇の後ろ姿を睨みつけた。そして……
「……!?」
犬塚は竜蛇の首を掴んで引き倒した。竜蛇の背がベッドに沈み、少し驚いた顔で天井を見上げた。
「ゆき……っ」
顔が上下逆さまのまま、犬塚は唇を合わせた。竜蛇の肩を押さえつけて噛み付くようなキスをする。すぐに竜蛇は応えて、口付けは濃厚になった。
「……ふ、幸人」
唇を解き、犬塚は怒ったように言った。
「くそったれ……! あんたのせいだ。俺はこんなんじゃなかった。あんたが俺をこんな風にした」
「そうだな」
「……あんたが変えたんだ。責任とれよ」
竜蛇は犬塚の黒髪に指を差し入れ、力強く引く寄せた。
甘く激しいキスをして犬塚の熱を煽る。犬塚はキスに応えながら、竜蛇のスーツのボタンを外した。
「……はぁっ」
唇が離れては、再びくっつけ合いながら、竜蛇は体を起こして犬塚と向き合う。犬塚がもどかしげに竜蛇のシャツを左右に引きちぎるようにしたのでボタンが数個弾け飛んだ。
「は……ん、ふぅ……志信、志信」
竜蛇は犬塚をベッドに押し倒して脚を開かせた。犬塚のアナルは飢えたようにヒクついている。すぐにでも男根が欲しかった。
「はやく……はやくいれろ……あ!」
「がっつくな。淫売め」
竜蛇は低く笑って、犬塚の後孔に滾った雄の象徴を押し当てた。そこは待っていたとばかりにペニスの先端に吸い付いた。
「ぁあ、はやく……あ! ─────アアッ!!」
竜蛇は加減無しで一気に貫いた。
犬塚の背が若木のようにしなる。
待ち望んだ竜蛇の男に肉体は歓喜していた。犬塚の唇がわなわなと震え、軽い絶頂に声も無く痙攣した。
「……っ、そんなに締めるな」
「─────っは! ……あ、はぁ……ぁあ」
大きく胸を上下させて、脱力した犬塚の頬を軽く叩いて竜蛇は責めるように言った。
「もうイッたのか? 勝手にイクんじゃない。ご主人様より先に気持ちよくなって……悪い犬だな」
「誰が、ご主人様だ。ふざけるな」
「お前の主人は俺だ」
「うあッ!!」
言いながら大きく突き上げた。犬塚の顔が苦痛と快楽に歪む。
「あっ! あぅ、待て……あ! あ!」
「お前は俺の犬だろうが」
「違う……ッ! あ、ああッ!」
竜蛇は一度抜いて、犬塚を四つん這いに這わせた。すぐさま獣の体位で後ろ姿から貫く。
「ひ、ぃあ! あっあっ、あぁあっ」
「ほら、自ら尻を振る雌犬だ」
犬塚の顔が屈辱に染まる。だが腰が揺れるのを止められない。
尻の肉を打つ音が響き、その淫らなセックスの音にも犬塚は感じてしまう。
「ああ、くそっ! こんな……こんな……あ」
待ち望んだ男の熱い肉棒に犬塚の顔は紅潮し、瞳を潤ませて切なげに眉根を寄せた。
犬塚は両手で自らの尻の肉を掴んで左右に広げた。
「……くそったれ! もっと来いよ!」
その淫らにねだる様に、竜蛇は舌舐めずりするように唇を舐めた。犬塚の腰を掴み直して思い切り突き上げた。
「あぁあッッ!」
犬塚の喉から絶叫がほとばしる。
奥の奥まで貫かれて、目の裏がチカチカする程に強烈な快楽を味わっていた。
一人でしているときとは比べものにならない。生理的な涙が目頭から零れた。
「幸人。イイか?」
「あっ、イイ……志信……しの……あぁあ」
竜蛇が言う雌犬のように犬塚は尻を振りたくった。まるで竜蛇の方が喰われているみたいだ。
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