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蜜月2
「ぁ……志信、しの……ぶ……あぁ」
犬塚は甘ったるく掠れた声音で、繰り返し竜蛇の名を呼んだ。
こんな風に男を求めるなど浅ましいと思うが、気持ちが良すぎて何もかもどうでもよくなった。
もうごまかすことはできない。
自分は竜蛇とのセックスに溺れている。屈辱的に酷く責められることも求めている。この男の思う通りになった事が悔しいが……
「幸人。可愛い俺の雌犬だ。愛している」
竜蛇に囁かれると意地を張っているのが馬鹿みたいに思えてくる。
犬塚が望めば残酷な罰も甘い接吻も与えてくれる。犬塚はふり返り背後の竜蛇を見上げた。熱の籠った琥珀色の瞳で犬塚を射抜くように見つめている。その瞳にゾクゾクする。
支配しているのはお前だ。
竜蛇の言葉を思い出す。今ならそれがどういう事か分かる。
この男は自分のものだ。
「志信」
犬塚は体を起こして竜蛇の頭を引き寄せた。微笑を浮かべた竜蛇が唇を重ねた。互いに舌を絡めて唾液を啜り合い、激しく求め合う。
「ん、ん……はぁ……」
口付けを解いて、犬塚は竜蛇の体の下から這い出した。アナルからずるりと男根が出ていく感触に身震いする。
「幸人……っ」
犬塚は竜蛇の肩を蹴って仰向けに押し倒した。
面白そうに琥珀の瞳を細めている竜蛇の上に乗り、再び男根を迎え入れた。
ゆっくりと挿ってくる熱いペニスにたまらなくなる。雄の象徴が最奥まで到達し、犬塚の尻が竜蛇の下肢と密着する。竜蛇が犬塚の細腰に手を這わせて笑みを含んだ声で囁いた。
「大胆だな」
「は……あんたを支配してるのは俺なんだろ?」
その言葉に竜蛇の笑みがいっそう深くなる。
「そうだ。俺のすべてはお前のものだ」
「あ!」
下から強く突き上げられて、犬塚は背を反らせた。
竜蛇の逞しい男根が二度、三度と突き上げてくる。犬塚は潤んだ瞳で天井を見上げた。
「あ、あ……もっと……あぁ」
「……この淫売め」
後孔の淫らな締め付けに竜蛇が眉根を寄せた。犬塚は竜蛇の顔を見て、その表情がひどくセクシーだと思った。
抱かれているのに抱いているようだ。実際、竜蛇を貪っているのは犬塚の方だ。
「その淫売が好きなんだろ」
「ああ、愛しているよ。俺はお前に夢中だ」
「あ! あ、あ、しのぶ……っ」
ゆさゆさと竜蛇の体の上で揺さぶられて犬塚のしなやかな肢体が淫靡にくねった。汗に濡れた黒髪が張り付き、頬を朱に染めた犬塚の顔に竜蛇は目が離せなくなる。
「もっと……強く……あ!」
「幸人……ッ」
竜蛇は犬塚の望むままに、己を与え続けた。
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