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Ⅰ:2

「へぇ…まさか四男くんが一番乗りとはね。で、弟くんの感覚を上書きしたいってこと?」  物事に余り興味を示さない上代には珍しく、随分と楽しそうに俺の話を聞いている。と言うか、一番乗りってなんだ。 「悪いけど俺、タチだから尻は貸せないよ」 「分かってる。奪われたものを取り戻す気は無いし、生憎俺は童貞じゃ無かった。それだけでも救いだ」 「へぇ。じゃあ別に俺に頼む必要無くない? 弟くんはネコなんでしょ?」 「……自分を抱かせた後、由衣は俺の全身を舐めしゃぶった。それでアイツ、舌で俺の尻を突きながら言ったんだ」 『ここは、また今度…ね?』  それを聞いた上代は肩を震わせた。多分爆笑したいのだろう。 「危なかったねぇ」 「危うく殴り付けるところだった」  上代が、可笑しそうに喉を鳴らした。 「由衣の言葉を借りるなら、俺は兄弟なんかにヤられる前に他人に奪われておきたい」 「ふーん、可愛い弟くんの方がマシ…とかは思わないんだ」 「当たり前だろう。誰が好き好んで実の弟にヤられたいと思うんだ、気色悪い。初めてを弟に捧げるくらいなら、見ず知らずの野郎に強姦された方がまだマシだ」 「避ける事は出来ない?」 「……うちの事情、お前も知ってるだろ。俺はまだ自分の人生を捨てたくない」  吐き捨てた俺に上代は苦笑を漏らし、長めの髪を掻き上げた。 「りょーかい。厄介ごとも引っ付いて来そうだけど…まぁ、最近退屈してたし丁度いっか」 「厄介ごと」 「その内分かるよ」  そう言って上代が口角をニッと上げる。そんな仕草ひとつで、この学園のチビ犬どもがどれだけ倒れるだろうか。 「じゃ、早速ヤりますか」  長く形の良い指が俺の腕を取り、スッと肌を撫でた。

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