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Ⅲ:3
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小学四年生の夏、俺は風呂場で諒にイタズラされた。
まだ未発達なカラダをひたすらベタベタと触られただけだったが、それでも今考えればアレは一種の性犯罪だったと思う。
でもその時は、諒の手付きに多少違和感があったものの、実の兄にそんな事をされていると言う感覚はなかった。まだまだ性に対して疎かったんだと思う。けどその日の夜、今度はベッドの中で双子の弟に襲われた。
『やっ、なに!? 和穂っ!』
『諒くんとお風呂でしてたでしょ』
何を!? と思っている間に和穂は俺のパジャマのスボンを下ろし、下肢を押さえつけると中心にしゃぶりついた。
『イヤッ! いやっあ、あっ、やだぁっ』
幼いカラダは反応など示さないし、気持ち悪さしか分からない。けど、そんなことは関係無いとばかりに和穂は俺の幼いソレをひたすら舐めた。
その日から、諒と何かある度に和穂は俺に"おしおき"をする様になった。そしてまた、それに比例するように諒の手が俺に伸びる頻度も増えた。
夜が、兄弟が、和穂が…怖くて仕方なくなった。
『うっ、うっ…うぇ、』
『シーちゃん泣かないで』
『いやっ! 和穂なんて嫌い!! うぅっ、』
ある日遂に精神が限界を迎え、俺は和穂にベッドで組み敷かれながらわんわん泣いた。そしたら和穂は真顔になって聞く。
『諒くんは良いのに僕はダメなの?』
『諒くんだってヤダよ!』
『じゃあ、諒くんを止めたら許してくれる? 嫌いなんて言わない?』
『……変なこと、しないなら』
『わかった。でも、シーちゃんも約束してね。諒くんとはもう仲良くしちゃダメだよ。由衣とだってダメ。僕以外と必要以上に仲良くしないで』
『うん』
『絶対だよ。約束やぶったら…酷いからね』
俺は簡単に返事をした。この時はもう、諒の事も怖かったから。二人から逃げられるならなんでも良かった。
だから、逃げることだけを考えた俺はその言葉の重みなんて分かっちゃいなかった。
『うん、約束する』
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