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Ⅸ:1

「俺が来たこと、驚かないんだな」  薄暗い部屋に響く重苦しい紫穂の声に、それでも諒は楽しげに喉を震わせた。 「戻って来るって分かってたからな。でも、こんなに早いとは思わなかった」  そう言って近付いてきた諒は、未だ汚れたままの紫穂の下半身をスラックスの上から握り込んだ。そのままぐにぐにと揉みこんでくる。 「あっ、ひ…」 「風呂入る余裕も無かったか?」 「ぃッ、ぅ…やめろっ!!」  殴る勢いで諒の肩を強く押せば、諒の体は簡単に紫穂から離れた。それでも諒は楽しそうに笑う。 「何が嫌なんだよ、何されるか分かってて来たんだろ? ご期待に添えられるよう尽くすからジッとしてろよ」 「なっ、違う!!」 「違わない。だから、今度こそ本気でお前を捕まえる。その為に彼奴らも呼んでおいた。癪だけどな」  そう言って諒が胸元からタバコを出し火を付けたところで、紫穂の後ろでドアが開いた。振り返った紫穂が息を飲む。 「な、何で…」  そこには犬猿の仲のはずの弟二人が…肩を並べて立っていた。

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