11 / 20
第11話
「だーかーらー!違うって!!俺も真面目に考えたんだ。お前に告られても、胸を揉まれても、ゾワッとはしたけど、い、嫌じゃなかったのはなんでか。…今まで、彼女を作る気にならなかったのはなんでか」
「モテなかったからじゃ…」
キッと睨むと廉は慌てて口をつぐみ、先を促すようにまた首を傾げた。
言葉で説明するのも間怠っこしいし、恥ずかしいのはどうせ一緒かと覚悟を決めて、廉の頭を掴んだ。さっき叩いて赤くなった頬をぐいっと近寄せると、照れ隠しにチュッと派手に音を立ててキスしてやった。
鳩が豆鉄砲をくらうとはこのことか、と思わず納得するような唖然とした表情を浮かべて、しばらく立ち尽くしていた廉は、ハッと我に帰ると思い切り抱き締めてきた。柔道部の男にまたしてもきつく締められて、息がつまりそうになったが何とか耐えた。
「慶生、ホントにいいの?」
「ああ」
「ホントに、ホントに、俺でいいの?」
「ああ」
「ホントに、ホン…」
「しつけえ!!」
廉は、しばらくして腕を緩めると、俺の顔を覗きこんで聞いた。
「…キスしてもいい?」
「お、おう…」
廉の顔がグッと近づいたと思うと、口がムニュッとしたものに覆われた。
廉の唇が押し付けられたと理解するのに、ちょっと時間がかかった。反射的に離れようとしたが、恐ろしく強い力で身体を固定され、ちょっとやそっとでは動けそうになかった。
「慶生、口開けて」
緊張のあまり歯を食いしばっていたようで、言われるがままに口を恐る恐る開けると、廉が舌を滑り込ませてきた。
兄貴を心配させるほどの堅物で、今までの人生に恋人など存在したことの無い俺は、キスも当然未経験だ。それを男と、しかも親友とすることになって、その上舌まで突っ込まれて、自分から誘ったも同然とは言え、あまりの急展開に軽くパニックになっていた。
ともだちにシェアしよう!