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第12話
いきなり地上に引きずり出されたモグラのように狼狽えている俺の心情を知ってか知らずか、廉はキスをしながら巧みにソファーに導き、押し倒した。
「廉、これなんだ?硬い」
そう言いながら、太ももに当たるモノに触ると、廉がビクンと身体を揺らした。
「あ、そ、そうか」
今更ながらモノの正体に思い当たり、カーッと顔が火照ってきた。
「慶生!好きだ!!」
廉は、嬉しそうに俺にのしかかってきた。
「…慶生、どうした?」
「どっ、どうしたもこうしたもあるか!お前こそ何するつもりだ!」
俺たちは、ソファーの上でなぜかガッチリと組み手を組んでいた。
さっきまでチュウチュウとキスを交わし、それなりに甘い雰囲気になっていたはずだ。それがなぜ、今俺は廉のシャツの胸元を掴み、廉は俺の腕を掴んで向かい合っているのか。形としては恋人同士の抱擁ではなく、完全に柔道の乱取り稽古を始める前のお手本のような組み手だった。
「慶生がここ掴んでちゃ、何にも出来ないだろ?」
廉は困惑したような声を出したが、俺にとっては今まさに一大事が起きようとしていた。
「おまっ、お前がっ、み、み、妙なことしようとするからだあっ!!」
組み手に入る前、二人でキスしながらソファーに倒れこむと、廉が俺のズボンの前を開けて下着に手を突っ込んだ。急なことに驚いて足を閉じようとすると、キスをしていた唇を離して廉が言った。
「慶生、嬉しい。ここ、硬くなってきている」
思った以上に巧みな廉のキスに下半身が過剰に反応し、熱くなってきているのは感じていた。その熱っぽく、硬くなってきているモノを、廉が直にギュッと握った。
「ひっ…」
日頃、自慰すらめったにしないというのに、自分以外の人間に突然下着に手を入れてモノを掴まれ、驚きと羞恥で頭が真っ白になった。
気持ちが怯んだため硬くなっていたモノが萎えそうになったが、廉の、少し乾燥した大きな暖かい手に包まれるように握られ、ゆっくり扱かれてまた熱を帯びてきた。
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