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第16話
「じゃあ、じゃあ、おっぱい触っていい?」
そもそも、無遠慮に胸を揉んだことがお仕置きの理由だったはずなのに、なぜ後ろに突っ込むのをやめたご褒美に触らせなければならないのか。大いに納得いかない申し出だったが、さっきから廉にはあるはずのない犬耳や尻尾が見え、その尻尾を思い切り振り、クンクン言いながら目の前で待てをしている廉を見ていると、首が縦に振られてしまった。
緊張しているのか、シャツのボタンにかけた廉の指がブルブル震えていて、なかなか外せない。見かねて自分で外すと言ったのだが、廉がどうしても自分で外したいと駄々をこねた。
慶生を好きだと思った時から、いろんなシーンを妄想したが、服を脱がすのが一番好きなシチュエーションだと言った。とんだ変態野郎だと呆れ果てたまま、ソファーに仰向けに寝そべっているところに廉がまたがってきて、まずは自分がシャツを脱いだ。
日々の鍛錬の賜物で、廉の身体は筋肉が盛り上がった美しい造形をしている。ギリシャ彫刻のような廉の身体を、変態だと言うことをすっかり忘れて惚れぼれと見上げていると、胸元に手が伸びてきてボタンを外しにかかった。ひとつ外すのにかなり時間がかかるのがどうにも焦れったく、焦らされているうちにどんどん身体が火照ってきた。
途中、何度かボタンを飛ばしそうになりながら、なんとか最後の一個を外し、廉がゆっくり前を開いてため息をついた。
「…すごくきれいだ」
俺の身体は実は色素が薄い方で、夏になってもあまり日焼けをしない。髪の毛も茶色がかっているし、乳首の色もピンクベージュで、そこはコンプレックスにもなっていた。
「バカかよ。初めて見るわけでもないのに」
廉の手によって大きくはだけられた胸元をじっと見つめられて、まるで女子のように恥ずかしくなってきた。廉は鼻息も荒く興奮しながら、真っ赤になって言い訳した。
「お前が好きだと思った時から、お前の裸はなるべく見ないようにしてた。好きな子の裸を見ると、身体が反応しちゃうから」
「そ、そうか」
廉は、ほんのちょっと逡巡したのち、そろりと両手を出して俺の胸に触った。
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