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第18話
「廉…、廉、怖いぃ」
とうとう、訴える声が情けなくも涙声になった。
あまり見たことのない廉の雄の顔にたじろぎ、彼の肩を掴んだ指がガクガクと震えた。快感に揺さぶられる自分の身体の反応も、理解が追いつかなかった。
「ごめん、慶生。でも、怖くないから。俺を信じて」
そう言って俺のまぶたに唇を付け涙を吸い取ると、廉は俺を抱きしめて、中にゆっくりと入ってきた。
「信じろ」と言う言葉ほど信じられないのは、詐欺師の口約束みたいなもので、古今東西あらゆる場面で常識として分かっている摂理だ。
男にのしかかられ、予想外に身体を開かれ中に入ってこられて、心底怖かった。その上、処女喪失とは痛いものだ。覚悟がないと余計痛い。ましてや完全にケモノになった男に何度も突かれて、痛くないはずがない。さっき廉が吸い取ってくれたというのに、痛くてまたも涙が滲んだ。これがいつか気持ち良くなる日が来るのかと、あられもない格好で廉に抱かれながら、兄貴の部屋の見慣れない天井を見上げて考えていた。
朝から部活で身体を動かし、今また廉と激しい運動をしてさすがに腹がぺこぺこになり、ソファーの上で、裸のまますっかり冷えたピザをかじった。こちらも真っ裸の廉は満足そうに俺に絡みついていて、時折俺の持っているピザに食いつき、半分くらいは廉が食べた。
弄られすぎて胸や尻が痛み、また、思わぬシチュエーションに心身ともに疲れ果て、ピザを食べながら廉の腕に身体をぐったりと預けていた。疲れきって動けないでいるのをいいことに、廉は腕を回してガッチリと抱え込み、額を俺のこめかみにこすり付けたり、唇をうなじや頬、首筋に這わせたりしていた。
男同士とはいえ、素肌を密着させて抱き合っているのがこんなに気持ちいいとは思わなかった。あまりの心地よさに、うっかりすると身も心もとろけそうになり、慌てて頭を振って気合を入れ直した。
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