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未知の世界 8
これはもう根源である岩城をどうにかしないと、耀子も最悪借金までし兼ねない。それだけはどうにか避けたいものだ。
「それにしても、車の修理の値段は分からないけど、五十万ってのは高過ぎるんじゃないのか?」
陸斗に訊ねると、少し思案するように唸る。
「そうですね……普通なら十万程度だと思うんですが、あの車は部品を取り寄せるにも海外からとなりますから、それなりの値段にはなると思いますけど……。ちょっと分かりませんね」
「そっか……」
不本意ではあるが、これは須藤に直談判するしかないのかもしれない。幸いなのかどうかはさておき、ぶつけた相手が知らない人間でなかった事がまだ良い方だ。
「岩城さん、俺が何とかあの男に交渉してみます。上手く行くかは分かりませんが」
「え……いや、そんな今日初めて会った方にそんなことさせられません。それでなくても危険な人なんでしょ?」
その言葉だけでも十分だった。他人を思いやれるその気持ちを知れただけでも。それに、さっきのあの場面で、岩城が耀子を騙してないことが明確になったことが大きい。
「ご心配ありがとうございます。ですが、こちらも色々ワケがありますので」
「ワケ……ですか?」
「はい。だから岩城さんは無事に交渉が上手く行くことだけを願っててください」
佑月の気迫に押されたように岩城は遠慮がちではあったが、コクリと頷いた。
「ありがとうございます成海さん、西内さん。なんてお礼を言ったら……。だけど無理だけはしないでください」
「大丈夫ですよ! 佑月先輩はオレがしっかり守りますんで」
胸を叩いておちゃらけた風に言う陸斗に、岩城は少しホッとしたように肩から力を抜いていた。
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