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長い一夜 14
「い、いつから起きてたんですか?」
「お前が起きるより前にはな」
狸寝入りだろうと、佑月は口に出したかったが、須藤をじっと見ていたことをきっと突っ込まれる。そうなると、色々と面倒くさいからと佑月は口をつぐんだ。
「……と言うか、ちょっと熱いから離れてくださいよ」
そう言う佑月を、須藤は抱きしめるように引き寄せ、脚を絡ませてくる。
「身体はどうだ?」
人の話など聞いていない。
「めちゃくちゃ辛いですよ。痛いし」
未だに何か突っ込まれてような違和感と、入り口付近は腫れてる感じがするしで、 正直辛いものがあった。
「なら、今日くらい仕事休め」
「って、ちょっと何して……」
須藤は佑月の身体を自分の上に乗せて、尻を揉んでくる。お互い裸だから、お互いのモノが密着し合って、朝から刺激が強い。
離れたいのに、身体が重くて言うこともきかない。それを良く理解している須藤はやりたい放題だ。
だから過剰に反応しないように、佑月はスルーするしかない。
「こんな事で仕事休むワケにはいきませんよ。それより着替えたいんですが……」
「お前にはムードってものが欠如してるな」
「……」
朝から盛 られたんじゃ、たまったものではないし、当然だろうと佑月は須藤を睨んだ。 須藤はその視線に呆れたように息を吐くと、佑月を抱えたまま身体を起こした。
「うわ……」
さすが鍛えてるだけはあるらしい。軽々としたものだ。 そして須藤は流れる動作で佑月にキスをすると、そのまま佑月を横に座らせてからベッドから抜けていく。
「って、ちょっと、ちょっと須藤さん……そこにバスローブあるんだし羽織ってくださいよ」
「何を今さら照れてる」
「べ、別に照れてませんよ」
スッと視線を逸らすと、須藤は面倒くさそうにしながらも、バスローブを羽織った。
均整の取れた肉体美は尻の形もいい……と思ってしまった自分に焦る。ガックリと佑月が項垂れてると、須藤は着替えを一式持って来た。
「下着から全部新しい物だ。お前のスーツはクローゼットにある。一応下着は洗濯して、そこに置いておいた」
「……え? 洗濯してくれたんですか?」
「あぁ。捨てた方が良かったか?」
「い、いえ、そうじゃなくて、須藤さんが洗濯?」
「俺以外誰がいる」
嘘だろと、目の前の背の高い男をじっと見上げた。悪いけど、どう見ても洗濯するような男には見えない。家庭的の〝か〟の文字すらも連想出来ないような男だ。そんな男が洗濯など、何の冗談なのか。
「お前は思ってる事が何でも顔に出るな」
須藤はそれが愉快だと言いたげに、口の端を上げながら、佑月の顎に手をかけて、顔を持ち上げてきた。
「だって……あんた程の人なら、お手伝いさんとかにやらせてそうだし」
セックスまでしたというのに、こうやって近付かれると、妙にどぎまぎとして目を合わせられない。まるで初 な中坊のようだった。
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