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夏の終わりに 7
「だったら連絡すればいいだけの話だろ。さっさと行くぞ」
「……」
強く促され、渋々と須藤の後を付いていき、佑月はその間に昌樹に連絡を入れておいた。学生時代の友人の家に泊まっていくと。誰が学生時代の友人だよと、自分で突っ込まずにはいられない。しかも男二人で宿泊など。
フロントで堂々とチェックインする須藤に反して、佑月は須藤の陰に隠れるようにして立つ。なぜなら特別室と聞こえたからだ。確実におかしいと思われること間違いなし。
現にフロントのスタッフはチラチラと佑月を見ていた。しかも目が合った途端、その顔が赤くなった。
(最悪。二度と来れないな、ここは。いや、もう絶対に来ない所だけど)
「……んん!?」
エレベーターに乗り込んだ瞬間、突然須藤に身体を引き寄せられ、唇を食まれる。
ビックリし過ぎて目を見開く佑月だったが、やがて身体からも力が抜けていき、ゆっくりと目を閉じていった。
だけどそのキスは飢えを満たそうとする激しいもので、エレベーター内でするようなものではなかった。
「ん……ふ」
ほぼ腰砕け状態の佑月を、須藤は逞しい腕で支える。
目的の階に着いたのか、漸く離れていく唇。頭の中も痺れて放心する佑月は、須藤にしっかりと支えられながら、エレベーターから下ろされた。
「須藤さんって……いつも、こうなんですか?」
「こう、とは?」
壁に手を突いて、須藤から離れた佑月を、少し不満そうに見てくる男。その目を真っ直ぐに見据えた。
「だから、その……こんな風にするとか……」
部屋まで待てない程、相手を求めるのかとか。悪く言えば。
「がっつくのかってことか?」
(自覚はあるのか)
佑月が頷くと、須藤は壁に凭れる佑月を囲うように、片手を壁に突いてきた。
そして佑月の脚の間に、膝を割り入れてくる。
「何してるんですか……あふ……」
須藤は膝で佑月の股間をグリグリと押し付けてくる。驚いた佑月の口からは妙な声がもれてしまった。
「お前だから欲情する。こんな風にな」
その言葉通りに須藤は甘い音色で囁き、耳朶に舌を這わせ、そして首筋へと滑らせていく。
「ん……」
(って、俺も何でこんな所で素直に感じてるんだよ)
「待って──」
押し退けようとする前に、須藤はスッと離れた。
そして呆気にとられる佑月を置いて、須藤はさっさと部屋へと歩いていく。
「これ以上お前に触れてると、本気でここでヤってしまうな……」
「うわぁ……それはめちゃくちゃ困る」
須藤に聞こえないように呟いてから、佑月は須藤を追いかけるように、一際豪華な部屋へと足を入れた。
部屋に入った瞬間、部屋の華美云々、佑月の意識は更に須藤一人に集中してしまう。
鞄を置き、スーツの上着を脱ぐといった一連の動作を盗み見て、一人で緊張している。
そう言えば、今日、明日は休みと言っていたのに、なぜスーツなのかと佑月は内心で首をひねった。
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