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夏の終わりに 17
「うーん……う……須藤さ……もう……ムリ……」
身体をゆっくり揺さぶられるような感覚に、佑月は首を振って枕に顔を埋める。
「……づき」
「もう……死ぬ……」
「佑月」
「んぁ?」
突然強い力で肩を揺さぶられ、驚いた佑月はそこで意識が覚醒した。
「……あれ?」
目の前には佑月の顔を覗き込む須藤の顔。
そして窓から射し込む朝日らしき陽光。
「眩しい……」
時間の感覚がなくて、朝なのか昼なのかさえも分からない。
「今、何時?」
「まだ八時前だ」
「八時前……」
八時って何時だと思ってしまうほどに重症な佑月に反して、何とも元気そうな男。
少しは反省しているのか、須藤は心配そうに眉を寄せている。と、思った矢先に、うつ伏せになってる佑月の尻を揉んでくる。
「っ!? ちょっと……もう……本当に死ぬから……」
「そう言いながらお前は何度イッた?」
「そ、それは、須藤さんが無理やりしたからでしょ!」
三回目までは佑月も何とか覚えていた。それからはほぼ記憶が曖昧だ。意識が戻るたびにイカされて。こんなハードなセックスは身体に悪い。
「仕方ないな。触るだけならいいだろ?」
「……まぁ、触るだけなら」
(仕方ないって……まさか、まだヤル気だったのか? また突っ込まれたら、確実に死んでしまうんだけど)
少し睨んでみた佑月だったが、全く効果がないのが分かる。そんな佑月の目を見ながらも、尻を撫でたり揉んだり、耳にキスしてきたりと、まるで他人事のようだ。とにかく須藤は佑月に触りたがる。
「須藤さん……尻触るの好きですよね」
「お前の肌は綺麗で滑らかだからな。この形の良い双丘が手にフィットして気持ちいい」
「うわぁ……なんか……エロおやじみたい」
そう佑月が言ってやるも、須藤は愉快そうに口の端を上げるものだから、もう思う存分触らせておくことにした。
それから佑月が動けるようになるまで、チェックアウトの時間をずらしてもらい、ようやく佑月たちは木更津に別れを告げた。
重すぎる腰のせいで歩き方も可笑しかった佑月は、旅館では目立ったに違いない。速水に会わなかったのが唯一の救いだった。
「須藤さん、これからは最低二回まででお願いします。本当……壊れるから」
「二回ね……」
全くその気がないような返事。首都高を走らせる隣の男。
(何でそんなにピンピンなんだ。普通あれだけ腰振ってたら疲れるだろ)
「……」
リアルに思い出してしまって、一人赤面。そんな佑月を見ていた須藤。
「っ……」
ニヤリと須藤の口の端がゆっくりと上がった。
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