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Relationship 7

「時間がないから、じっくりと舐めてやれない。悪いな」 「……」  どうやら本気らしいようで、勝手なことを言って、勝手にキッチンの収納扉を開けて何かを探してる男。出てきた物を見て、佑月は思わず眉を寄せた。  オリーブオイル。  呆然とそれらの流れを見ていた佑月のスーツの上着は、さっさと脱がされる。そしてスラックスと下着までもが、一気に下ろされてしまった。 「ん!」  恥じらう暇もなく「そこに手を突け」と淡々と命令される。  何でだと反抗したいのに、佑月は素直に応えてしまう。結局、佑月自身も須藤にこうして欲しかったのだ。  キッチン台に手を突いた佑月の身体を、須藤は尻を突き出す体勢にする。そして露になっている尻にキスを落としてきた。 「ん……」 (うわ……恥ずかしから、やめてくれ)  熱くなる顔を隠すように、佑月はキッチン台に顔を伏せた。  そしてオリーブオイルの蓋を開ける音が耳に届き、緊張で身体が強張る。そんな佑月の尻臀(しりたぶ)を拡げて、須藤は窄まりにクルクルとオイルを塗り始めた。 「佑月」  須藤はいつも佑月をリラックスさせる時は、耳元で名前を呼ぶ。その甘い声は確かにいつも佑月に安心を与え、身体が弛緩していく。 「んん……」  窄まりを解しながら、前を扱かれ、早くも蜜がポタポタとフローリングの床を濡らしていく。 時間がないせいか、性急な手つきで少し痛みが襲うが、早く須藤が欲しいと身体は疼いていく。だが須藤は念入りに解すことに、手を抜くことはしない。  それから須藤は、佑月の身体をゆっくりと愛撫出来ない代わりに、やたらと甘い言葉で饒舌に聞かせてきた。  佑月はその度に赤面するばかりで。でもその甘い言葉も、身体を重ねる時だけのただの言葉なのか。  あの男が愛だの恋だの、本気で人を愛するということが想像出来ない男だけに、こうして今一人になると、虚しさが募るのだ──。

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