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Relationship 10

「あ、でもさ、去年だったか、それに似たようなことでトラブルがあったな……」  颯は綺麗に整った眉を寄せながら言う。 「トラブル?」  佑月はつい口を挟むように颯に訊ねた。 「あぁ。六本木のNo.1ホストに貢いでた女がいたんだけどさ、その女も体の関係を強要してたみたいなんだよ」 「それでどうなったんですか?」  他人事ではないかのように、岩城は先を促す。 「結論から言うと、その六本木のホストクラブは、その女が原因で潰されたんだよ……」 「え!?」  佑月と岩城の異口同音。   「でも詳細は伏せられて分からないんだよな。ただ、やっぱりと言うかヤクザが絡んでた」 「ヤ、ヤクザですか……」  途端に岩城は青くなってしまう。  暴対法で厳しくなったとはいえ、暴力団と繋がってる店は未だにある。現に、颯の店も陸斗の父親が組長として率いる、西内組の系列である組がバッグに付いている。 「ヤクザが絡んでたってことは、その女の子はキャバ嬢か何かだったのか?」 「ビンゴ。歌舞伎町でキャバやってる女。しかもそのバッグが黒衿(こくえ)会。ヤバいところだぞ」  黒衿会。  暴力団ならではの抗争、違法取引などで、武闘派組織として力を誇示していた組織。  最近ではテレビなどで騒がすことは少なくなったが、水面下のことまでは誰も知らない。  すっかり萎縮してしまった岩城を元気付けるため、後は明るい話題で今日は締めた。 「じゃ、ユヅ、今日はわざわざ時間ありがとな。やぱお前の顔見ると癒されるわ」 「ですね! 兄貴はオレにとっても癒しの女神です!」 「女神って……せめて、男の神にしてくれない?」  佑月が冗談混じりでそう言うと、岩城は「アハハ! そうですね!」と明るく笑う。  このまま、岩城はすれたりしないで、いつまでもその明るい笑顔を見せてほしい。  兄弟がいない佑月にとっては、本当に弟が出来たみたいで嬉しかった。 「後、ユヅ……」 「ん?」  颯は佑月だけに聞こえるように身を寄せてきた。 「何かため込んでることがあるなら、いつでもオレは聞くぜ? 言いにくいことでもさ、オレはユヅの全てを愛してんだからさ、今さら何聞いたって、オレの愛が変わるわけでもないんだし。あ、でも、犯罪に手を染めるってんなら、オレは全力で阻止するけどな」 「颯……」  心の奥深くまでズンと響いた。  どんな時でも佑月の味方でいてくれた颯の言葉は、とても重く、そして心の重しを軽くしてくれた。 (……本当、俺には勿体ないくらいの、最高の親友(とも)だよ)

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