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Confinement 4

 何とか見つからず無事に着いたネットカフェ。設備はかなり整っていて、シャワーも出来るようだ。佑月は直ぐにフロントでシャワールームの鍵を受け取り、先に浴びてしまうことにした。火傷の部分には、ガーゼを貼った上に防水フィルムを貼ったため滲みることはない。  本当は医者に見せるべきなのだろうが、こんな煙草の痕だと分かる火傷など、色々面倒そうだから行く気になれなかったのだ。  サッとシャワーを浴びて部屋に戻った佑月は、直ぐに時間を確認した。  二十二時半前。 「今頃俺を探してるんだろうか……」  そう口にしてはみたが、意外と須藤はあっさりと引いていたりするかもしれない。去る者追わずで。あれだけ佑月に執着しているなど自惚れてみたが、そうでなかったら笑う。わざわざこんな所に隠れて……。  結局、須藤が現れるのではと不安で、佑月は一睡もすることが出来ず朝を迎えた。須藤には見つからなかったが、鏡に映る佑月の顔は酷すぎた。顔色がすこぶるに悪い。  顔色はどうにも出来ないが、変装のため、大学時代に颯に貰っただて眼鏡をかけた。髪型はいつもはちゃんとワックスでセットする髪も、敢えて何もせず手櫛で簡単に整えるだけにした。パッと見ただけでは、佑月とは直ぐに分からないだろう。  そしてネットカフェを出た佑月は、警戒しながらも、近くのコンビニで挽き立てのコーヒーを買った。昨日の夜から何も食べていない佑月だったが、いまも全く食欲が湧かないのだ。  コンビニのイートインでコーヒーを飲みながら、あれから一度も電源を入れていないスマホに電源を入れた。やっぱりと言うか、センターに保管されていたメールを直ぐに受信した。差出人は、須藤から。  〝何処にいる〟〝逃げても無駄だぞ〟  まるで借金取りみたいなメールだが、須藤が諦めていないことがよく分かる内容だった。佑月は複雑な気持ちで暫く頭を抱えていた。 「……佑月先輩……ですよね?」  今日は海斗と二人での仕事。事務所には寄らず、現地集合にしてもらったが、海斗は眼鏡の佑月を見て、少し自信なさげな顔をしている。 「うん、俺だよ。おはよ」 「あ~良かったぁ……変装ですよね? ビックリした。眼鏡掛けてるところなんて初めて見ましたよ。おはようございます!」  海斗が直ぐに分からないなら、この変装もどきも成功といえる。 「で、昨日は何処にいたんすか? 昨日、やっぱり須藤はウチに来ましたよ」 「ごめん……。本当にごめんな。二人に迷惑かけて……」  申し訳なさ過ぎて、佑月は海斗に深く頭を下げた。 「何謝ってるんすか! 全然大丈夫でしたし。だって須藤の奴、先輩はここには居ないし、居場所も知らないって言ったら、あっさり帰りましたから」 「え? そうだったんだ……。良かった」  暴れるなんてことはしないだろうが、変な圧力など掛けていたら、それこそとんだ迷惑をかけるところだった。佑月はひとまずホッとした。 「……それじゃあ、そろそろ行きますか?」 「うん……」  海斗はそれ以上須藤の話題に触れることはなかった。だから少し佑月は気持ちが楽になった気がして、仕事の間は余計なことを考えずに集中することが出来た。  今日の依頼は部屋の模様替えということで、要は大きな家具の移動などのお手伝いだ。火傷の痕があるせいで、大きなタンスを運ぶ時は海斗に気付かれないようにするのが大変だったが、何とか無事に終えた。

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