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Confinement 11
「それと……色々とすみませんでした」
多忙を極めて疲れているところに、こんな面倒事を起こしてしまったこと。
不可抗力だったとはいえ、須藤を余計なことに巻き込んでしまったのは、本当に申し訳ないと佑月は思った。佑月一人だと本当に何も出来なかっただろう。須藤の迅速な措置がなければ、佑月は今頃廃人になっていたかもしれない。
「……」
何も答えない須藤の目を見据えていると、その目がスッと暗く翳っていくのが分かった。 佑月に触れていた手も、そっと離れていく。
それが少し不安にもなったが、佑月はそれには気づいていないふりをした。
「……奴らのことも直ぐに分かったんですか?」
「あぁ。浅薄 な考えでいたから、粗が目立った」
「一体あの男は……」
ヤクザに違いないと思う。そして須藤への想いが大きいということ。ただの一般人である佑月に、あそこまでしたのだから。
「黒衿 会の村山という男だ」
「え……? 黒衿会……村山」
どちらもつい最近聞いたばかりの名。そして、黒衿会はとてつもなく大きな組織だということ。
「お前が手掛かりを残していたのも大きいな。スマホの録画機能を使って、録音していたのを聞かせてもらった」
「あ……」
そう、実はあの時佑月は、奴らの事務所に入る前に、スマホの録画の画面を呼び出していた。録画開始の音が鳴るため、相手に聴こえないようにするのには、肝を冷やしたが。
アパートに帰って、ちゃんと録音が出来ているか確認したが、よく録れている方だった。何かあった時の為に、手掛かりになればと思ったが、少しは役に立ったみたいだ。
でも須藤の中では、何も終わってないという事を感じる。実際、奴らと須藤が今どういう状況なのかは分からないが。
須藤は、ブランデーのボトルを出しておきながら飲む気はないのか、大きく開いた両膝に肘を突いて、額を押さえている。まるでそれが項垂れているように見える。
「すど──」
「佑月」
須藤は顔だけを佑月に向け、そしてその目線を下に下げていく。
「……はい」
「傷はまだ痛むか?」
「いえ、もうほとんど痛みません。須藤さんがくれた薬のおかげです」
「そうか……」
佑月を閉じ込めた初日の夜、滝川が持ってきてくれた薬。あの〝もぐり〟の医者から処方されたらしいが、やはり市販の物とは効き目が違った。
「今回のことは、すまなかった」
「え……? 突然どうしたんですか。らしくもない」
少し軽いノリで言ってみたが、須藤の目は暗いまま。空気を読めてない自分が恥ずかしくなって、佑月は目線を泳がすしかなかった。
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