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Decision 6

「成海さん! 何を仰ってるんですか! いけません」 「そうだぞ、アンタ自分があの人からどんな仕打ちを受けたのか分かってんのか? 正気とは思えない」  二人が同時に腰を上げるが、佑月は静かに二人を見上げる。 「俺は至って正気だ。これは、俺の中ではまだ終わってないんだ。だから、本当に悪かったと思ってるなら、それぐらいしてもらわないと、俺は到底許せる気にはなれない」  許す気など更々ないが、このままでは終われない。佑月の気迫に二人は一瞬口を閉ざした。そして、暫くして町村が愉快そうに声を上げて笑った。 「はは……アンタ、本当に見かけとはえらい違いだな。あの裏社会の王とも言われる男が、惚れるだけはあるってことか……。分かった、ついてきな」 「おい、貴様。勝手な事を言うな!」 「滝川さん!」  怒りを顕に町村の胸ぐらを掴む滝川を、佑月は慌てて引き離した。 「成海さん後生ですから、どうか考えを改めてください」  消え入りそうな声で懇願する滝川。そんな滝川を見て、申し訳ない気持ちで占められていくが、何分(なにぶん)佑月は頑固なところがある。一度そうと決めたら、よっぽどの事がない限り曲げることはない。 (厄介だと自分でも思う……) 「滝川さんの立場をなくすような真似をして、本当に申し訳ないです。でも、俺はどうしても確かめたい事があるんです。ですからどうか今回の事、目を瞑って下さい。お願いします」  佑月は滝川に深く頭を下げた。良き返事がもらえるまで顔を上げないつもりで。  どれくらいの時間が経ったのか。もしかしたら、まだ一分程度なのかもしれない。狭い更衣室内はシンと静まり返り、町村も一切口を挟まないでいた。そして、佑月が汗が滲む拳を強く握りしめた時、滝川が長い息を吐き出した。 「……分かりました」  その返事に佑月は勢いよく顔を上げた。 「あ……滝川さんありがとうございます!」 「いえ……。このままだと成海さんずっと頭を下げたままでしょうから……」 (はい……まさしくその通りです)  本当に仕方なく許可するといった、滝川の弱った声音。佑月は心の中で詫びるしか出来ない。 「ですが、危険だと分かれば直ぐに中止します。貴方の安全が第一ですから」 「はい、分かりました」  そして佑月は陸斗らに度々迷惑掛ける事を詫び、半日だけ時間をもらった。町村の運転する車に、佑月は滝川と乗り込み、都内の黒衿会の息が掛かった病院へと向かう。その車内で佑月は須藤に連絡すべく、スマホに名前を呼び出していた。  だが、かなり躊躇してしまう。百パーセント止められるのは分かりきってることだから。でも黙って行けば、滝川に責任を問われてしまう。それだけは、どうしても避けなければならない。 (よし、掛けるぞ)  佑月は一人気合いを入れて、思いきって通話ボタンをタップした

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