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Decision 14
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「やっぱり落ち着くな……このボロアパート」
だけど一週間以上も部屋を空けてると、なんだかカビ臭い気がした。今日は、依頼が一件も入っていないため、最近休みがなかなか取れてない皆のために、事務所を休みにした。因みに【J.O.A.T】は一応、土曜日が定休日だったりする。依頼は不定期に入るから、メンバーにはちゃんとした休みがあげられていないのだ。労基法、云々突っ込まれると、佑月にとっては立つ瀬がない。
その休みを利用して、佑月は掃除を始めた。始めたのはいいが、昨日というか今朝まで須藤にむちゃくちゃにされたせいで、実はさっきまでへばっていたのだ。やっと動く気になったのだが、やっぱり辛いものがある。須藤は相変わらずピンピンしている。
「体力差というものをちゃんと分かって欲しいよな。しかもあの人、一睡もしてないのに、元気だよな……って、いけね。もうすぐ来る時間だ」
今日、佑月は颯を家に呼んでる。慌てて掃除を済ませ、ホッと息をついたタイミングの良さでインターホンが鳴った。一応ドアスコープから確認することを忘れない。これは須藤から煩く言われたからだ。確認をしてドアを開けると、いきなりの抱擁が佑月を待っていた。
「ユヅ! 会いたかった!」
「う……颯……いつも苦し……」
「あ、悪ぃ」
そうとは思ってない事は、颯の顔を見れば良く分かる。締まりがなく緩んだ表情だから。
「ユヅの体がもう少し太れたらなぁ。この腰だって女みてぇだぞ」
颯は両手で佑月の腰をグッと掴む。食べても太らない体質らしい自分。筋肉も付きにくい。男としてはショックなものがある。
「女みたいで悪かったな。それはそうと、わざわざ来てくれてありがとな」
「全然。ユヅん家は寛げるから好きなんだよな」
大学の時から何度か泊まりにも来ていたのもあり、馴染みある部屋で颯は早速寛いでいた。
佑月が颯を家に呼んだ訳。何となく颯本人も分かってるかもしれない。少し緊張が混ざる中、佑月は颯にお茶を出して、ガラステーブルを二人で囲った。
「健二くんは元気してる?」
先ずは当たり障りない会話から。
「あぁ、普通に元気。てか、この間会ったばかりじゃん」
「そうなんだけど。彼はなんか気にかけちゃうんだよね。ほら、この間のホテルがどうとか言ってた女の子も、来なくなったって言ってたし」
「あぁ、あれね。エリカちゃんは確かに残念だったけど、なんか黒い噂もあったりしたから、ちょうど良かったんじゃねぇのかな……」
「黒い噂?」
「うん、なんか美人局 まがいな事してるって。あくまでも噂だけどな」
あながち間違ってはいない。颯らの業界の情報網も広いってことが良く分かる。
「それより、話はそんなことじゃねぇんだろ?」
「うん……」
アイスコーヒーで喉を潤してから、佑月は背筋を伸ばした。
「もう気付いてると思うし、今さらだとは思うけど、ちゃんと颯には言っておきたい」
「やっと、話す気になってくれたんだな」
颯はホッとしたように、嬉しそうな顔を見せた。
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