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Decision 15

「改めて言うと、ちょっと恥ずかしいんだけどさ。俺……須藤さんのことが好きなんだ」 「うん」 「俺様気質で、傲慢で唯我独尊のような男だし、初めはその強引さに流されたところもあったけど、今は須藤 仁っていう一人の人間に強く惹かれてる。確かに怖いと感じる時もあるんだけど、あの人は俺が知らなかった感情をも解放してくれたんだ。だから自分を飾らなくていい。すごく楽なんだ」  一気に話す佑月に、颯は相づちを打って真剣に聴いてくれている。それだけでも颯の気持ちが、佑月に伝わってくる。 「そう言えば、ユヅは大学ん時、渚と付き合ってる時は、何となく付き合うって(かた)にはまってたんだよな。淡々としてさ。今だから言えるけど、それが当時少し心配でもあった。でも、須藤さんと出会ってからは悩んでる姿や、須藤さんの一挙一動に振り回されてるユヅが凄く新鮮だったな」 「本当……あの人にはずいぶん振り回されてるかも」  佑月がため息混じりにそう呟くと、颯は可笑しそうに声を立てて笑った。 「でもユヅはそんな須藤さんといて楽なんだもんな。オレなんて、あの須藤さんを前に、普通に会話することなんて出来ねぇもん」 「きっかけがきっかけだったし、その流れも大きいかな」 「きっかけって、あのUSB事件だよな」 「うん」  一応出会ったきっかけを、佑月は颯に話していた。USBをめぐり、拉致された案件。颯はそれをUSB事件と命名している。 「でもさ、やっぱそう思うと、あの人はオレらでは想像もつかないほどの、危険な世界にいる人なんだよな……。って、言っておくけど、自分のせいでオレらに危険が迫るとか、そういう余計な事は考えるなよ?」  口を開きかけた佑月を止め、颯は真っ直ぐな目で佑月を見据えてきた。 「ユヅのオレらを思う気持ちはよーく分かってるからさ。何かあったとしても、その時はその時! オレらも一緒に闘うからさ。だって、ユヅの周りにはそんな柔な人間はいないだろ?」 「颯……」  たくさん言いたい事があるのに、佑月は胸がつまって言葉が出てこなかった。そんな佑月さえも分かってくれているようで、颯は佑月の傍に寄ると抱きしめてきた。 「実際、本音はちょっと悔しいな」 「え?」  佑月の肩に顔を埋める颯。その背中を佑月はトントンと軽く叩く。 「だってさ、オレのユヅが取られたんだぞ! 娘を取られた父親の気持ちが良く分かるわ」 「……」  一拍置いて、佑月は噴き出してしまった。 「アハハハ! 娘って……腹痛い……プ……ククク……」 「おい、何笑ってんだよ! オレは真剣だっつうの」 「もう……やめて……クク……真剣とか……死ぬ」  颯は拗ねたように、笑う佑月にヘッドロックを仕掛け、そのままフローリングへと二人して崩れるように倒れた。 「痛いって……颯……クク」 「まだ笑うか」 「アハハ……だって颯が……っ!?」  フローリングに仰向けに倒れている佑月に、映るはずのない物が目に入る。 「え……?」  そして、佑月は一瞬で固まった。 「何だよ」と佑月に覆い被さってる颯は、佑月の視線を辿っていく。そして颯は、驚愕に目を見開く。 「何してる」 「……」 (うわぁ……見事にブリザード吹き荒れてる) 「あ……えっと、これは、その……」  颯はしどろもどろになりながらも、慌てて佑月から離れた。

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