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《Background》 4

『あぁ、に一発な』 「誰が殺った」 『黒衿会の人間だ。派閥があったのは知ってるだろ? 古参の小寺派と村山派とで』 「あぁ」 『その小寺派の若いのが殺ったそうだ。だがな、少し違和感がねぇか?』 「そうだな。その辺りはしっかり調べてもらうぞ」 『へいへい』  村山は破門されたのだから、小寺派にとっては邪魔者がいなくなったのだ。それなのに、わざわざ波風立てるように、村山を消すのはかなり違和感があった。今頃、黒衿会内部は荒れているだろう。 通話を切ってから、須藤は煙草を口に咥えた。  村山を殺して誰が利益を得たのか。若い者が殺したというものも、誰かの命令で動いたのは明白。だが、小寺の命令でないことは確かだ。そこまで小寺も馬鹿ではない。自分に疑いの目が真っ先に行くことくらい、分かってるだろうから。なら、中では小寺を貶めようと、新たに派閥が出来ているのか。正直、須藤の知ったことではなかったのだが、何か妙に引っ掛かりを覚え、情報屋に探らせることにした。 「ん……また……か……」  不意に隣で気を失っていた佑月の目が覚め、自己嫌悪の第一声。声を出させ過ぎたために掠れる佑月の声にも、須藤は欲情する。須藤は火の付いてない煙草を捨て、佑月の頭を撫で下ろした。 「もう一回くらい、いけそうか?」 「えー……またですか? もう、三回もしたじゃないですか……ダメ」  腰を擦りながら背中を向ける佑月に、須藤は首筋や肩にキスをしていく。その気にさせようと、手での愛撫も忘れない。 「……」  すると、佑月は諦めのため息を吐く。 「もう……次は二回までしか付き合わないからな」 「あぁ」  須藤の返事に警戒を解いた佑月は、須藤へと身体を向けてきた。  本当に嫌なら、佑月は絶対に応えようとはしない。だけど佑月は交換条件を出すことを忘れない。もちろん須藤はそれを飲んでやる。無茶ばかりさせているのは事実だし、下手をしたら、触ることも許してもらえなくなるかもしれないからだ。 「その前に、キスしてください……」  珍しく自分からねだる佑月に、須藤はその綺麗で甘美な唇を堪能した。  村山の件はとりあえず置いておき、今の須藤の頭の中は、目の前の可愛くて、愛しい男のことしかなかった──。

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