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内輪で 2

 花のそわそわは、雑誌をみんなに見せたかったからなのかと思ったが、違うようだ。まだ何か、落ち着きなく時間を見たりしている。 「花ちゃん、もしかして今日何か用事あった?」 「え? 何もないですよ!」  一瞬驚いたような顔をしたが、直ぐに手を振って花は否定する。嘘は言ってなさそうだが、どうも様子がおかしい。 「そっか。なら、いいんだ。ごめんね」 「い、いえ! こちらこそ、気を使わせてしまってすみません」  頭を軽く下げる花の頭を、海斗は軽く叩いた。ムスっと海斗を睨む花。そんな二人を見て颯が笑う。 「あ、ねぇねぇ、花ちゃんオレにも見せてよ」 「どうぞ!」  颯はこういうものが結構好きだ。 「ええと、オレは……」  真剣に読んでいるその横顔は、直ぐにつまらなさそうに眉が寄っていった。きっと、大した内容ではないのだろう。でも何もなく、平穏が一番いいのではと佑月は思った。 「美月さん、どうだったんですか?」 「え? 別にこれといった事はねぇなぁ……」 「そうですか。まぁ、美月さんは占いに頼らなくても、いつでも順風満帆ですもんね!」 「んなわけねぇだろ……」  岩城に答えつつも颯の目線は、まだ占い雑誌に走らせている。 「何をまだ真剣に読んでるんですか?」 「ん? ユヅのをな。ユヅは十二月二日だろ……」  どうやら誕生日占いらしく、颯は佑月のところを読んでるようだ。佑月も占いの類いは信じてないとまでは言わないが、興味がない。  でも当たると評判と言われれば、少し気になる佑月がいたりした。

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