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内輪で 7
そして走って二、三分。近くの建物の駐車場に、須藤は車を乗り入れる。
(ビジネスホテル?)
佑月が首を傾げていると、いつの間にか車を降りていた須藤にドアを開けられ、シートベルトを外して腕を引っ張られる。
「痛いって……。てか、ここへ何しに……」
須藤は佑月の問いに答えることはなく、さっさと部屋に佑月を連れ込んだ。
「すど……っ……ん……」
部屋のドアが閉まるより前に、須藤は佑月の呼吸ごと奪うように、唇を重ねる。
そして、スーツの上着を脱がしに掛かる須藤に、佑月は待ったをかけ腕を叩いた。だが佑月の訴えは無視され、須藤の手と唇は縦横無尽に佑月の身体を這っていく。
「ちょ、ちょっと須藤さん……待ってください」
「待てない」
「待てないって……ッ……」
佑月の上半身はすっかり裸に剥かれ、須藤は胸の突起を甘噛みしながらベルトを外していく。ベッドは直ぐそこだと言うのに、今は全く頭にない様子。
「ッ……須藤さん……どうしたんだよ……いきなり、こんな……」
佑月のスラックスの前をくつろげながら、須藤はじっと佑月の顔を見つめる。
見つめられることで心臓が暴れだし、佑月の呼吸が速くなり、鼻息までもが荒くなる。
(なんか……俺が変態みたいじゃないか?)
「別れ際にあんな表情 を見せられたら、堪らなくなるだろ」
「別れ際……」
「しかも最近まともに会ってなかったからな。お前を喰いたくて仕方ない」
「喰うって……ッ」
俺は餌かと抗議をしたかったが、壁に押し付けられた佑月は、唇を鬱がれてそれが叶わない。やはりベッドのことは頭にないようだ。
だが、須藤が佑月を激しく求めているのが良く分かった。佑月へと押し付けられる須藤の下半身は、ガチガチに硬くなってる。
スラックスの中で、さぞかし窮屈なことだろう。そのことが、佑月の中でも燃えるような欲を呼び起こした。須藤の背中に回していた右手を、佑月はそっと須藤の下半身へと持っていった。
「佑月?」
そんな佑月の行動に驚いた須藤が、キスを解いてじっと見てくるため、佑月は顔を隠すように須藤の胸に額を押し付けた。
「おい」
「いいから、黙って……」
ゆっくりと須藤の前で膝を突いた佑月は、須藤のベルトを外し、ファスナーを下ろした。
緊張のせいで僅かに手が震えている。情けなくて佑月は笑いそうになる。だが男との経験など襲われたは別にして、須藤が初めてなのだ。ましてや男のモノを触るとか、そんな経験もあるわけがないし、正直どうしていいか分からない。だから見よう見まねというのか、須藤がいつもしてくれるようにするしかない。
佑月はごくりと唾を飲んでから、中から取り出した。
「ッ……」
こんな間近で見るのは初めてだった。
完勃ち状態のソレは、まさに〝凶器〟だった。
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