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内輪で 9

 それから佑月が暫く頑張っていると、須藤に変化が現れた。明らかに呼吸が速いし、何より佑月の口内でカチカチになっている。 (もう少しだ……) 「佑月……もういい」  須藤は佑月の顔を両手で包んで引き剥がそうとするが、佑月は頑なにそれを拒む。 「いいから、離せ……」  余裕のない声。ぐしゃりと佑月の髪を掴む手。腹筋や太股に力が入ってる。 ──絶対に離してなんかやらない。イクまでは。  須藤は知らないだろうが、佑月の中では最高の愉悦を感じていた。拙い自分の口淫に感じてくれているのが、とにかく嬉しかった。そして佑月が最後に思い切り吸い上げた時。 「く……ッ……」  須藤の艶かしい声と同時に、佑月の口内に広がる欲。雄だけをゆっくりと口内から出し、白濁液はそのまま飲み込んだ。  苦味がなく、無味に近いなと佑月が思っていると、頭上から「馬鹿が……」と降ってくる。誰が馬鹿だよと口を開きかけると、須藤は佑月を一瞬で担ぎ上げて、ベッドへと押し倒してきた。 「っ! ん……」  まだ須藤の欲が広がる口内を貪られ、衣服は全て剥ぎ取られていく。ここからは須藤のターンだったが、お互いがいつもより興奮しているのが分かった。 佑月も須藤のスーツを脱がそうとするが、まごついて上手くいかない。結局は須藤が自分で全て脱いでしまう。  そして須藤は佑月の性器を口に咥え、佑月とは比べ物にはならない口淫で、佑月を快楽の海へと沈めていく。 「あ……もうイク……離し……」  ブルリと全身が震え、直ぐに達してしまう佑月の白濁液は当然のように、飲まれてしまう。  佑月は以前に須藤に訊いたことがある。何で飲むんだって。すると須藤は〝お前のだからだろうな〟と答えた。  今ならそれが分かる。なぜなら佑月も飲むのに抵抗がなかった。それはきっと、須藤のだからだ。 「あっ……須藤さ……もっと、そこ……強く」 「ほら、しっかり味わえ」 「あぁあ! ん……ぁ」  獣のように絡み合う佑月たち。狭いビジネスホテルのベッドは、激しさを物語るように、ギシギシと音を鳴らす。 ──このまま溶け合いたい……。  もう……今の佑月にとっては、なくてはならない存在。大事で、とても大切な男。 「あ……ぁ……すど……」 「佑月……」  だからいつもこの瞬間は、愛する男に抱かれる幸せで、須藤のことしか考えられなくなるのだ──。

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