236 / 444
内輪で 9
それから佑月が暫く頑張っていると、須藤に変化が現れた。明らかに呼吸が速いし、何より佑月の口内でカチカチになっている。
(もう少しだ……)
「佑月……もういい」
須藤は佑月の顔を両手で包んで引き剥がそうとするが、佑月は頑なにそれを拒む。
「いいから、離せ……」
余裕のない声。ぐしゃりと佑月の髪を掴む手。腹筋や太股に力が入ってる。
──絶対に離してなんかやらない。イクまでは。
須藤は知らないだろうが、佑月の中では最高の愉悦を感じていた。拙い自分の口淫に感じてくれているのが、とにかく嬉しかった。そして佑月が最後に思い切り吸い上げた時。
「く……ッ……」
須藤の艶かしい声と同時に、佑月の口内に広がる欲。雄だけをゆっくりと口内から出し、白濁液はそのまま飲み込んだ。
苦味がなく、無味に近いなと佑月が思っていると、頭上から「馬鹿が……」と降ってくる。誰が馬鹿だよと口を開きかけると、須藤は佑月を一瞬で担ぎ上げて、ベッドへと押し倒してきた。
「っ! ん……」
まだ須藤の欲が広がる口内を貪られ、衣服は全て剥ぎ取られていく。ここからは須藤のターンだったが、お互いがいつもより興奮しているのが分かった。 佑月も須藤のスーツを脱がそうとするが、まごついて上手くいかない。結局は須藤が自分で全て脱いでしまう。
そして須藤は佑月の性器を口に咥え、佑月とは比べ物にはならない口淫で、佑月を快楽の海へと沈めていく。
「あ……もうイク……離し……」
ブルリと全身が震え、直ぐに達してしまう佑月の白濁液は当然のように、飲まれてしまう。
佑月は以前に須藤に訊いたことがある。何で飲むんだって。すると須藤は〝お前のだからだろうな〟と答えた。
今ならそれが分かる。なぜなら佑月も飲むのに抵抗がなかった。それはきっと、須藤のだからだ。
「あっ……須藤さ……もっと、そこ……強く」
「ほら、しっかり味わえ」
「あぁあ! ん……ぁ」
獣のように絡み合う佑月たち。狭いビジネスホテルのベッドは、激しさを物語るように、ギシギシと音を鳴らす。
──このまま溶け合いたい……。
もう……今の佑月にとっては、なくてはならない存在。大事で、とても大切な男。
「あ……ぁ……すど……」
「佑月……」
だからいつもこの瞬間は、愛する男に抱かれる幸せで、須藤のことしか考えられなくなるのだ──。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!