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トラブル 11
「そのアドレスはいわゆる闇サイトのもの。そこに記した手順でいけば大丈夫だけど、あまりお勧めはしないよ」
「そうですか……分かりました。わざわざ調べて頂いてありがとうございます」
お勧めは出来ないが、こうして教えてくれる。それはきっと佑月が黙ってる性格ではないと知っているから。佑月の性格を見抜かれているのもあるだろうが、須藤からもある程度、聞いてるのかもしれない。
いずれにしろ、中村はわざわざリスクもあるだろう情報をくれたわけだ。これを無駄にするわけにはいかない。もしかしたら空振りに終わるかもしれないが、何もしないよりは断然いいはずだ。
「成海くん……もしかして会うつもりでいるのかな?」
佑月の考えを見透かした中村の問い。佑月は一瞬どう答えようかと迷ったが、嘘をついてもどうせバレてしまう。なら、正直に答えるしかなかった。
「……はい、そのつもりです」
答える佑月に中村は「あぁ……やっぱりそうだよね」と苦笑する。
「でもね、もしかしたら会うのは難しいかもね。奴は〝リスク〟を嫌う。スリルを味わいながらスリをしているワケじゃないからな。奴はそれを仕事としているからね」
「そうですよね……」
佑月は落胆の色を、海斗と二人揃って見せてしまう。
「カラスはどんなに金を積まれても、自分に不利益なると判断すると、スッパリと断る。嗅覚がいいとも言うのか。客を慎重に選んでる」
それを仕事としているなら、そうせざるを得ないのだろう。捕まってしまっては生計が成り立たなくなるから。
「でも、まあ……」と、中村は佑月と海斗の顔を交互に見る。そして佑月たちの決意の顔を見て、仕方なさそうに笑った。
それから中村からは、充分に気を付けるようにと厳重な言葉をもらった。そして、何かあればいつでも協力するとまで言ってもらえ、佑月は心強い味方を得たのだった。
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