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真実1 3

 ありがたい好機に、佑月は慎重に質問を口にする。 「確か、heavenのオーナーがケツ持ちを裏切って、あなた方と通じていたというものでしたよね」 「あぁ。だが、そもそもその話自体が、初めっから仕組まれてたんだよ」 「仕組まれてた?」 「あぁ。オーナーがケツ持ちの深山組を裏切ってたってのも大嘘だ」 「……」  全てが嘘……。  自分にUSBを預ける依頼をしてきた、高田の話を佑月は思い出す。  高田はアパートに突然須藤に押し入れられ、酷い目に遭った。その時に、須藤から事の詳細を聞かされ、佑月に話してくれたもの。  heavenのオーナーがケツ持ちのやくざである若頭からUSBを盗んだと。だが、いくら隙があったからとはいえ、一介のオーナーがやくざから盗みだすのは極めて困難なはず。大事なデータが入ってるなら尚更。  あの時は冷静さを欠いていたのもあってか、疑問すら浮かんでこなかった。今だから分かるが、思えばそれも納得出来ることだった。 「でも、何のために……」  佑月は思わず呟きが口からこぼれる。 「それは円城寺って男の目を(くら)ませるためだ」 「なんだって……? 円城寺……って、あの円城寺?」  この話題で飛び出してきた、まさかの名前に動揺が出てしまったが、佑月は直ぐに一般の反応らしく返した。 「おう、やっぱり知ってるようだな。まぁ、あれだけの大企業様だからな」 「ええ、そうですね……。でもそんな大企業の円城寺の目を晦ませるとは、どういうことですか?」  上手く誤魔化せたのかと柿田の表情を探るが、言葉通りに受け取ってもいいのか、まだ判別がつかない。 「アンタがただの一般人なら教えてやる義理はねぇが……。ただ、須藤にはオレから聞いたってのは喋らないでくれよ?」  何のつもりなのか、堂々と円城寺の名前まで出して暴露しているわりには、須藤のことになると肝が小さい。  よほど嫌な目に遭って、恐ろしいのか。何にせよ、柿田が須藤とは関わりたくないというのは明白だった。 「もちろん、話しません」  とにかく真実が何であれ、円城寺が絡んでるなら話は絶対に聞いておきたい。  佑月は海斗ととも頷き合うように力強く答えた。柿田はそんな佑月たちを見て、半ば安心したように緊張を少し解いた。 「よ、よし、分かった」  柿田組の若頭の決意に、部屋にいる組員らは、ただ静かに成り行きを見守っている。  あの時とは違い、大人しくなったものだ。 「そもそも、あのUSBの中身は何か知っていたのか?」 「いいえ、知らされてはいませんでした」  海斗はどうだろうと佑月は視線を遣ったが、海斗も首を振る。双子らは知っているものだと思ってただけに、正直驚いた。  だが普通に考えると、そういう物は内密に取引されるものだ。第三者が知ってるのは可笑しなものかと、佑月は当然の事に思い至った。

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