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真実1 11

 なぜ円城寺家の家令である櫻木がここにいるのか。そして今、樹がとても重い言葉を口にしたことで、佑月の中で混乱状態になってしまっていた。 「櫻木は僕の協力者だよ。だから安心して」 「協力者……」  円城寺家に仕える櫻木が、樹の協力者。にわかには信じることが出来ないが、ここで疑うってことは、樹を疑う事と一緒だ。  とりあえず、佑月は樹の話を聞くことにした。 「櫻木からは、アイツの色んな情報を流してもらってるんだ」  そう言われてみれば、確かにあの時、樹が円城寺邸を訪れて来た説明にもなる。  “円城寺の新しい男”を見に来たと言っていたから。 「でも……こう言ってはなんですけど、櫻木さんは円城寺家に仕える方なのに、なぜ主人を裏切るような真似を?」 「そう思われるのはごもっともでございます。ですが、長きに渡り円城寺家に仕えてきた櫻木家にとって、今の当主である政孝様の為さることは、目に余ることばかりでございます」 「目に余るって……円城寺がしてきたことをご存知なんですか?」 「はい。決して表沙汰には出来ないような事をです」  淡々と答える櫻木だが、その目の奥は冷たい侮蔑が浮かんでいる。そして、その表沙汰には出来ないような事とは、櫻木は一体どこまで知っているのか。  樹は円城寺を引きずり下ろすと言っているが、櫻木自身の真意はどうなのか。  迂闊な事を佑月が話して、それが円城寺に伝わってしまっては、元も子もない。  ここは慎重に応じなければならないと佑月が気を張った時、樹が忌々しそうに深い息をついた。 「アイツはね、円城寺家の恥さらしなんだよ。裏でヤクザと交流があるなんて、考えられないでしょ? アイツはヤクザに薬を売って、汚い金を稼いでるわけ」 (そこまで把握しているのか)

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