314 / 444

真実1 13

「どういうことだ……? なんであの男が……」 「成海さんと初めて会った時、どこかで会った気がしたのがすごく気になってたんだけど、そのすぐ後に、思い出したんだ。合点がいったというか」  確かに佑月が樹と初めて接触したとき、樹は『どっかで会ったことある?』とは言っていた。  今、このスマホの画像を見ると、樹がそう思うのは佑月も納得出来た。  だが佑月の頭の中は、ほぼ真っ白状態だった。 「合点……」 「うん。アイツの留守の間に、何かネタがないかよく部屋に忍び込んでたんだけど、そこで奴のベッドサイドにある写真立てが目に入ってね……。凄い綺麗な人がアイツと写ってるもんだから、誰なのかずっと気にはなってたんだ。櫻木に訊いたらもう二十数年近くも前から置いてるって。それと、アイツとその人の関係。そして成海さんの関係を……」  佑月は軽く目眩がした。  という言葉を聞いただけでも吐き気を催す。まさか、そんなはずはないと……。  それから、樹と櫻木から語られる話を、佑月はずっと沈痛な面差しで聞いていた。  そしてここまで赤裸々に話してくれた二人に、これからのことを黙っているワケにはいかなくなり、佑月は自分の考えを二人に伝えた。 「僕たちの思いは一緒だってことだね。なら僕たちは、成海さんへの協力は惜しまないよ。むしろ、こっちはずっと準備もしてきたんだから。だから僕たちのことは気にせず、思うように動いてほしい」  樹の隣で櫻木もしっかりと頷く。  自分たちの意志は強いのだと。 「ありがとう……」  樹に会っていなかったら、佑月は円城寺の補佐役なりに就いて、中枢に入り込む予定だった。それはとても危険なことだったが、覚悟はあった。  だがこうして思わぬ味方を得られた。願ってもいない幸運と言えただろう。  しかしまだ高校生である樹に、これ以上深く関わらせることは出来ない。  それを踏まえながら、今後の対策等を、三人でじっくりと話し合ったのだった。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!