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真実1 13
「どういうことだ……? なんであの男が……」
「成海さんと初めて会った時、どこかで会った気がしたのがすごく気になってたんだけど、そのすぐ後に、思い出したんだ。合点がいったというか」
確かに佑月が樹と初めて接触したとき、樹は『どっかで会ったことある?』とは言っていた。
今、このスマホの画像を見ると、樹がそう思うのは佑月も納得出来た。
だが佑月の頭の中は、ほぼ真っ白状態だった。
「合点……」
「うん。アイツの留守の間に、何かネタがないかよく部屋に忍び込んでたんだけど、そこで奴のベッドサイドにある写真立てが目に入ってね……。凄い綺麗な人がアイツと写ってるもんだから、誰なのかずっと気にはなってたんだ。櫻木に訊いたらもう二十数年近くも前から置いてるって。それと、アイツとその人の関係。そして成海さんの関係を……」
佑月は軽く目眩がした。
関係という言葉を聞いただけでも吐き気を催す。まさか、そんなはずはないと……。
それから、樹と櫻木から語られる話を、佑月はずっと沈痛な面差しで聞いていた。
そしてここまで赤裸々に話してくれた二人に、これからのことを黙っているワケにはいかなくなり、佑月は自分の考えを二人に伝えた。
「僕たちの思いは一緒だってことだね。なら僕たちは、成海さんへの協力は惜しまないよ。むしろ、こっちはずっと準備もしてきたんだから。だから僕たちのことは気にせず、思うように動いてほしい」
樹の隣で櫻木もしっかりと頷く。
自分たちの意志は強いのだと。
「ありがとう……」
樹に会っていなかったら、佑月は円城寺の補佐役なりに就いて、中枢に入り込む予定だった。それはとても危険なことだったが、覚悟はあった。
だがこうして思わぬ味方を得られた。願ってもいない幸運と言えただろう。
しかしまだ高校生である樹に、これ以上深く関わらせることは出来ない。
それを踏まえながら、今後の対策等を、三人でじっくりと話し合ったのだった。
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