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真実2

◇  衝撃の真実を知ってからの翌々日。  樹が佑月のために、とある人物と会えるように、手筈を整えてくれていた。樹に感謝してもしきれない思いで、すぐに佑月は相手先のオフィスへと赴いた。 「急な事でしたのに、お時間を作って頂き、本当にありがとうございました」 「いえいえ。確かに樹から話を聞いた時は驚いたものでしたが、私も協力出来る事が嬉しいので」  柔和な笑みを浮かべながらも、強い意志が宿る男の目に、佑月にも力が漲る思いだった。   「我々を支えてくれている多くの従業員や、その家族が路頭に迷うようなことがないよう、しっかりとサポートはするから、そちらのことも気にしないで下さい」 「……はい。本当にありがとうございます」  佑月はソファから腰を上げて、深く頭を下げた。佑月が頭を下げるのは、円城寺の弟である円城寺 弘道。  兄である円城寺とは顔は似ていなく、人当たりのよさそうな優しい面立ちをしている。と言うのも、彼らは異母兄弟らしいのだ。そして彼ら兄弟は、あまり仲が良くないと、佑月は樹から聞いていた。  その対抗意識もあってか、弘道は経営能力に長けていることもあって、円城寺と競うように、デパート業界など数多くの企業を取り締まっている。  弘道がこの話を快諾してくれたのも、円城寺の所業を知っていることと、樹の存在が大きいという。その樹の存在を弘道が知ったのは約二年程前。  兄の無情な行為に弘道は強い憤りを覚え、円城寺をいつかトップから引きずり下ろすことも、視野に入れていたそうだ。  そんな中での今回の話は、弘道にとっても願ってもないことだったのだ。 「では成海さん、貴方も気をつけて下さい」 「はい。ありがとうございます」  佑月は深い感謝の意を込めて、最後にもう一度頭を下げた。不安要素が全て払拭されたわけではないが、これで佑月も動きやすくなったのは事実だった。  そして佑月に休まる時間を与えないかのように、今日は円城寺の付き添いで車中にいる。  ある人物に挨拶をしたいからと、半ば強制的に佑月は付き合わされている。  車が着いたのは、外資系の大手企業が入る大きなビル前。しかし円城寺には降りる気配がなく、佑月は訝しげに円城寺を見遣った。

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